十七年ぶりの百鬼夜行

 京極夏彦の「鵼の碑」を読了した。著者は直木賞作家で、ミステリー、時代小説、妖怪小説等を手掛けている。自ら妖怪研究家を名乗っており、妖怪をモチーフとした作品が多いが、主要な作品には実際には妖怪は登場しない。本書は百鬼夜行(京極堂)シリーズの十七年振りの新作であり、本シリーズの主人公である、中野の古書店「京極堂」店主の中禅寺秋彦の知人達が、様々な事件を追って日光で一堂に会する姿を描いたミステリーである。
 本書は「蛇」「虎」「貍(たぬき)」「猴(さる)」「鵺(ぬえ)」の五章及び最終章の「鵼(ぬえ)」により構成されている。最初の五章はそれぞれ六つのパートに