タオレテ、ノチ、ヤム(斃れて後已む)94歳の想いと暮らし(8)夢で逢いたい

 微熱があるようで少しシンドく、ソファーでゴロゴロしていて、テレビを視ていたはずだったが、居眠りをしていたらしい。寝汗をかいていて気持ち悪かった。
 しかし、もっと夢の中にいたかったなあ、まだはっきり覚えている夢の世界が名残り惜しかった。
 二十八歳の自分が、捜していたひとと再会して抱擁し合うという、いい夢を見たのだが、覚めてみると、94歳、独居マンションの現実が次第に戻ってきた。

 トシをとって、よく夢を見る。若いころも見ていたのであろうが、目覚めると大抵はすぐ忘れた。しかし、今はその夢をよく覚えている。
 夢のほとんどは悪い夢だった。