タオレテ、ノチ、ヤム(斃れて後已む)94歳の想いと暮らし(7)喪主挨拶

 今年の正月は、三日まで予定がなかった。
 例年、子や孫が集合するのだが、孫の一人が正月出勤で、集合が三日になった。
 元旦、集合に先立って御節を食べる気になれず、また我が家独特の白みそ仕立て具だくさんの雑煮をつくる気にもなれず、妻の遺骨の前に燈明をあげて、ぼんやり遺影を見ていると、葬儀の時、葬儀社がつくってくれた録音テープがあったのを思い出した。
 
 妻の死は八月だったので、お盆の近辺にも集合して法要を営む。しかし、それは、近所の、菩提寺と同じ宗派の寺で、お経をあげてもらい、会食は外食にしており、録音テープを聞くことなど忘れていた。
 遺影