“ポッキー”と少年

誰もが知っているチョコ菓子“ポッキー”。
たかが“ポッキー”、でもぼくにとってはされど“ポッキー”なのだ。

時代はバブルと呼ばれた頃、ぼくは大学生となり、東京の郊外でひとり暮らしを始めた。
1年生の夏休み、仲良くなった北陸出身の迫田と広島へ行くことになった。
群馬出身のぼくがなぜ広島かというと、単に迫田の知り合いの女の子に会いに行くという、若い頃にありがちな思いつきの行動である。
真夏の太陽が照りつける中、迫田は知人から車を借り、名古屋駅で合流した。
広島に着くと、彼女と友達、ぼくらの計4人で原爆ドームなど名所を巡り、初めて訪れたこの地を