思いはいっぱい紙芝居のこっちがわ

「もう大人しくしてたらいいのに?いいおじいちゃんなんだから。仕方ない旦那さんだ」
 わたしの報告に呆れ顔。口喧しい妻にはもう慣れっこ。それでも今回は的を射ている。後期高齢者までカウントダウン。なにをするにしても、これまで以上に難しくなる。
「それに時代が違うのよ。現実を見なくちゃ」
 妻の言い分はよく分かる。ただ私の夢を完全否定する権利は誰にもない。勿論妻だって。
 演劇青年だった。アマチュア劇団華やかなりし時代、やがてアマチュア劇団を自ら旗揚げする程のめり込んだ。
物心つくとともに自覚した、酷過ぎる人見知りな性格。誰かと話そうとすれば、赤面し