温泉語物 No.2399 石灰にひとつだけの穴

 小中学校の運動会の前日には教師たちがグランドに専用の道具で石灰のラインを引く。金属製の細長い箱型容器で、下には車輪が二個ついていて、ハンドル部分を持って、押したり引いたりすると、容器の下にあいている小さな穴から石灰粉が少しずつ落ちてくる。この穴が十個くらいあいている。これで幅広のラインが引ける。石灰にひとつだけの穴では、細い一本のラインしか引けない。これではどーしようもない。

 それで思い出した。関温泉「朝日屋旅館」の内湯には底にある穴ひとつが外のパイプとつながっていて、湯面と同じ高さでお湯が放流されるフロート式というものだった。