『幻庵下』(百田尚樹著)(最終回)

 エピローグ
 秀和をもって近代碁が始まった。 旧来の家元制度では囲碁の未来はないと見た村瀬秀甫は、 「方円社」を創設した。 方円社は旧家元をしのぐ勢いを得て、碁打ちたちもこぞって方円社に入った。 方円社の支援者には、井上馨、岩崎弥太郎、大隈重信、渋沢栄一、山県有朋など、錚々たる人物が名を連ねている。 秀甫がいなければ、日本の囲碁は明治維新とともに滅んでいたかもしれない。 「近代非凡人31人」の一人として、中江兆民は、勝海舟、西郷隆盛、大久保利通、坂本龍馬などと並べて村瀬秀甫の名前を挙げてい
る。 秀甫は、本因坊の名跡を東京日日新聞社に譲って隠退。現在、