承認要求の強い人々

 小川哲の「君が手にするはずだった黄金について」を読了した。著者はSF、ミステリー作家であり、2015年「ユートロニカのこちら側」で第3回ハヤカワSFコンテストの大賞を受賞して作家デビューしている。本書は、著者自身を彷彿とさせる語り手の「僕」を取り巻く怪しげな人達を描いた、私小説風な連作短編集である。
 「プロローグ」:大学院生だった僕は就職活動を思い立つ。読書が好きだった僕は、新潮社のエントリーシートを取り寄せるが、「あなたの人生を円グラフで表現してください」との質問に考え込んでしまう。その質問を読んだ僕は、「カテゴリー・ミステイク」という言葉を思い出