闘将の涙

 光るものがあった。確かに彼の両眼は濡れていた。

 欧州チャンピオンズリーグベスト8をかけた戦い。アトレティコマドリーvsインテルミラノの試合は観る者の心を揺さぶる、凄まじい試合になった。延長も合わせて120分間、文字通りの総力戦であった。ボクシングで言えばクリンチが少なく、互いに下がらない、ガチンコの打ち合いであった。

 あと数分で負ける状況での同点弾、奇跡的なセーブを繰り返す両キーパー、足がつり、息があがり、それでも走ることを止めないファンタジスタたち。誰がではなかった。勝ちたい気持ちに全員が集中していた。

 そしてPK戦。ホームのサポーターを