「着いたよ」
またもや私は助手席で熟睡していたのだ。それまでも何回も眠りに落ちては目覚めを繰り返していた。いつだって雨が降っていた。
ホテルの玄関前の雨の当たらない場所で私を降ろし、息子は車を停めに行った。
ホテルに入った。
「ワオ!」
広い、半端なく広いロビーには巨大な海が広がっていた。おまけに人が少ない。横4~50メートルはありそうな広い窓の向こうには、青い海と何処までも真っ直ぐな水平線が走っている。
フロントにいるのは全員日本人らしい。私達の担当はふくよかな女性で、ゆっくりした口調で説明する。
生ビール片手にゆったりと窓際に座る。
「ビー
連載:二人旅