亡母を思う。

日本の春。
この季節になると
いつも母の声が聞こえる気がする。

ねえ、桜はまだ咲かないの?

癌で闘病中だった母の病室の窓からは、
スカイツリーや高い建物しか見えなかった。

私は、一ヶ月〜三ヶ月おきに、
アムステルダムから東京へ帰国していた。

帰国する度に、
オランダの木靴のキーホルダーを沢山買って母に渡していた。

よくしてくれる看護婦さん達にあげてね。

私は母が亡くなるなんて思っていなかったから〜。

東大の赤門の前には新大学生たちが写真を撮っている。

私は毎日、
母の病院通いで、赤門の前を車で、通り過ぎていた、

私の感じる春は、毎年、