女性限定のライブでの大量殺人

 パスカル・エングマンの「黒い錠剤-スウェーデン国家警察ファイル-」を読了した。著者はスウェーデン在住で記者出身の作家で、2017年に作家デビューしている。本書は「ヴァネッサ・フランク」シリーズの第二作で、インセルによる殺人事件を描いた警察小説である。
 本書の主人公は、四十三歳で県警組織犯罪班からスウェーデン国家警察殺人捜査課に異動したばかりの女性警部のヴァネッサ・フランクである。彼女は最近では珍しい愛煙家である。彼女には、若い女優を妊娠させたために離婚した演出家のスヴァンテ・リデーンがいる。
 本書の物語は、二十五歳でエステティシャンのエメリ・リディ