光る君へ⑬  進むべき道

寛和2(986)年の政変劇で孫である一条天皇を即位させ摂政となった兼家は、
瞬く間に息子たちを昇進させて、政権の中心に居た。
それから4年後の永祚2年(990)正月5日、一条天皇は元服の日を迎えた。
元服式で加冠役を務めた兼家は政権トップの座を揺るぎないものとした。
その二十日後には、兼家の子・藤原道隆の娘である定子が一条天皇に入内した。
それは道隆たち中関白家の絶頂期の始まりを意味していた。

ある夜まひろは庭で月を見上げ、道長と別れた日のことを思い返していた。
「私は私らしく、自分が生まれた意味を探してまいります」
まひろは道長にそう告げた。
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