万遇節 〜言えなかった嘘〜

子供の頃は、万愚節にさらりと嘘を言えた。
どんなことも 面白おかしく嘘を言えた。
しかし、大人になるとなかなか言えない。

私には憧れの人がいる。
カフェで同じ時間に逢う人。
名前も連絡先も何もしらないが、なぜかいつも私がピンチの時に必ず現れ、ヒントをくれる。
このタイミングは、絶妙だ。
今日 会うことができた。
会ったら 万愚節を理由に嘘をついてみようと言葉を準備していた。
が、先日のお世話になったお礼だけを伝えた。
そして、またねと手を振った。
しばらく車で走ったが、言えなかった嘘を伝えたくて戻ったが、その人はいなかった。

言った方が良かった嘘なの