連載:

「一人で歩く」

実は「桜おばさん」はもう一人いた。

「お帰りなさい愛子様ゾーン」には報道陣と私達とどう見ても本物のランナーには見えない筋肉質の男性と「桜おばさん」。そしてもう一人の女性。

いつ、帰って来るか分からない愛子様を待つ間、二人は広角泡を飛ばしと言いたいが議論ではないからにこやかに喋っていた。

「朝雪が降っていたんですよ」
私は二人から距離を取っていたが、そこだけ聞こえて来た。

「どちらからいらしたんですか?」
「札幌よ」

「札幌から飛行機で?!」

大きな荷物は持っていないから近くにホテルを取っているのだろう。ここに歩いて来れる場所にあるホテル!ま、