温泉語物 No.2415 あくまでカニ食い

 温泉大好き仲間たちと真冬に山陰地方の温泉巡りをしたことがある。山陰名物のカニを食べたいとかで、温泉は二の次だった。あくまでカニ食いが主目的だった。

 温泉宿の夕食には食べきれないほどのカニ料理が出たが、仲間の女性は一人だけカニ足を追加注文した。生タラバガニの足三本で一万円。

 「スゲー!」

 彼女はとても美味しそうに食べていた。好きなものに金に糸目はつけない。いいよなー、そんなに好きなものがあって。そこまでして食べたいものは私にはない。そもそも魚介類は苦手だし、大好きな肉でも一万円は出さないかな。俺って、安上がりにできてるんだ。