桜の花の下

足羽川の土手の桜を愛でながら、 
「願わくは 花の下にて 春死なん その如月の 望月のころ」
(どうか、春の、桜の花の下で死にたいものだ、ちょうど釈迦が入滅した2月の満月のころ)
この歌は西行が死ぬ10年前に読まれたと言われていますが、この歌の通り1190年に訪れていた大阪奥河内の弘川寺にて、咲きほこる桜の下亡くなりました。西行の歌を思い出しながら、記憶を積み重ね、思い出を温めて、汚れてしまった旅行鞄を開いてみれば、昭和のかび臭い匂いが飛んで出る。文学の楽しさに酔いしれたあの時代、艶やかに生きた仲間たちの顔が、晴天の空に浮かび上がった。楽しい人生だった。