花曇仄かな香り吸い込んで



 心寄せれば離れゆく夕桜   湯川雅

 此処よりのセーヌの眺め花曇  星野立子

 花曇 空港へのバス花見時  アロマ

 そのままに暮れすすみたる花曇  深見けん二

 水中の豆腐にひびく花曇り  中嶋秀子

 花曇茶漬となりて米笑ふ  宮脇白夜

 花曇花弁透けつつ夕刻へ  アロマ

 花曇仄かな香り吸い込んで  アロマ

 花曇二階に見ゆる九段かな  長谷川かな女

 のしかゝるもの杉ばやし花曇  久保田万太郎

 朝粥のきらりと光り花曇   赤尾恵以

 まつすぐに母を訪ふ道花曇  中村汀女

 惜まれて退く仕合はせよ花曇  石本めぐみ