死を語ろうではないか


「怖くはないのか」
悪魔が囁く
「怖いなんて、あの世から帰ってきた人間だよ」
臨死体験、魑魅魍魎

三途の川を渡り戻りし我が身
広がる現世の空蝉
ピーンと張った空間にワープして
手を合わせ京都の朱門の寺
奥に鎮座する仏が睨む
死とは何か、人間はどこへ行くのか
仏は答えず

父が亡くなった時 幼い我を連れ靖国へ
死んで逝った同胞に
輪廻徘徊
草の根から生き返る
主義主張で生き 
挫折と絶望感で心を病み
すべての思いを息子に託そうと
決して無駄死にではなかった
『死より辛い事がある』ことを
父の命日に思い出す言葉であった
我が死を受け入れる時