「しかたないわね。いっしょに付いていってあげるわ」
元々 小夜子は佐多を真から好きということはなかった。
ただ 自分を必要としているような男が佐多だったので
ほうっておけない気がしただけだったのである。
だが 今は 今までのいかなるときの佐多よりも 今夜の
佐多が好きなような気がした。
構(かま)えも気障(きざ)もすっかり失い すがってばかり
の男の気弱さが 彼女をとらえた。
(しかたがない。一緒に死んでもやろう。自分はどうせ
こうなるようなっていたのだろう)
小夜子は 佐多をバスルームにつれて行って服を脱がせた。
洗面器に水を汲んで顔