朝食の朧豆腐の味優し



 深海の彩して隠岐の若布着く 密田真理子

 満月や切手のなかの深海魚   田中一光

 朱夏のバー深海魚らが閃光す 園部蕗郷

 蛍烏賊食み深海の声を聞く  上原朝子

 深海のあぶくぽつりと竜の玉 井潟ミヨ

 海底に沈む都の上に月 和田華凛

 海底の石拾ふごと海鼠捕る  坂口学

 ふくと汁海底にある県境 三井所美智子

 海底の藻の揺れ想ひ海鼠噛む 荒井千佐代

 海底都市の王妃の像や雲の峰 金山雅江

 サングラス街が海底都市となり  小林朱夏

 海底のやうなる街よ大夕立  小田嶋野笛

 妻と居てほどよき朧月夜かな  市川伊團次