紫の煙の如く藤垂れて



 山藤と思ふ車窓の吉野まで  坊城中子

 うはばみの巻きつきたるがごとき藤   阿波野青畝

 四万川をおほふ藤浪そよぐなり  水原秋櫻子 緑雲

 園児等の一人に藤の房とゞく  星野立子

 藤の花見てねむくなる田舎寺  百合山羽公

 藤の花昼より雲の風を呼ぶ  上村占魚

 藤浪を揺らし過ぎゆく光陰か  安住敦

 山藤の一と房を手に淡しと思ふ  高濱年尾

 竹あれば竹に懸りて藤の房  鷹羽狩行

 藤棚の下に安らぎ秋惜しむ   鈴木真砂女

 ローマよし七つの丘に藤咲きて  山口青邨

 紫の煙の如く藤垂れて   アロマ
 
 藤の花ゆ