「わしゃあ、死ぬときはぽっくりと逝く。誰の世話にもならん」
そんな言葉の通り、殺しても死なないような父だった。
子供のころは拳骨を喰らった記憶しかない。

そんな父が、難病に侵され、十年以上の病院生活を送ることを余儀なくされた。
とりわけ、晩年はベッドから動くことも間ままならぬ状態に。

父との思い出と言えば、彼の唯一の趣味だった釣りだろうか。
ある日、父が海釣りを誘ってきた。
私も嫌いではなかったが、父との釣行となると逡巡した。
怖い父だったから、私に行かないという選択肢はなく、しぶしぶついて行った。
そこで、私は父の別の顔を見た。
叱られるときの鬼の