落ち蝉も二三鳴き澄む秋の蝉 稲畑汀子 禅寺の欄間の透かし秋の蝉 木下節子 秋の蝉残暑の合間にちらほらと アロマ 秋の蝉鉱泉せんべい割れやすく 田中藤穂 吊されて俎乾く秋の蝉 本橋墨子 耳近く秋の蝉聴き庭手入 花房敏 丸ビルの玻璃を突き抜け秋の蝉 稲畑廣太郎 東京駅丸の内口秋の蝉 稲畑廣太郎 夕暮を惜むごとくに秋の蝉 川口利夫 …
うなぎ屋の黒き天井夏の果 桂信子 花影 わが倚る樹夏終れりと法師蝉 山口青邨 ソース瓶潮騒に立つ夏の果 桂信子 緑夜 土瓶より濃き茶出でくる夏の果 桂信子 緑夜 暑さ猶夜半も 厳しく夏の果 アロマ 夏果の薄暮は路地のためにある 佐藤鬼房 夏逝くやよき思出を残しつつ 松村蒼石 雪 東京を一歩も出でず夏終る 鈴木真砂女 都鳥 樹も草も青ふかめゆき…
台風シーズン今年の十月如何に アロマ 台風襲来スズメバチ巣を作る アロマ 十月の素足平均台に乗る 今井聖 十月の紺たつぷりと画布の上 福永耕二 十月の草色したる馬の糞 大木あまり 雲の塔 十月の萌葱のべたりうまごやし 木津柳芽 白鷺抄 十月の落葉は青くあたらしく 阿部みどり女 十月の蚊帳しと~と覚めゐたり 米沢吾亦紅 童顔 十月の路上…
この雨に生まれなくとも蝉青し 水田むつみ ともに激しさもち蝉と生れ人と生れ 玉城一香 やわらかき蝉生れきて岩つかむ 西東三鬼 一斉に蝉の生涯はじまる日 後藤一秋 蝉時雨さわさわ耳に心地良く アロマ 羽根透けて蝉の紋様美しく アロマ 暁に樹に付く空蝉を見て アロマ 横に殼有りて真白く蝉生る 波多野幸子 殻を脱ぐ蝉生誕の翅の瑠璃 小原菁々子 月明に…