この雨に生まれなくとも蝉青し 水田むつみ
ともに激しさもち蝉と生れ人と生れ 玉城一香
やわらかき蝉生れきて岩つかむ 西東三鬼
一斉に蝉の生涯はじまる日 後藤一秋
蝉時雨さわさわ耳に心地良く アロマ
羽根透けて蝉の紋様美しく アロマ
暁に樹に付く空蝉を見て アロマ
横に殼有りて真白く蝉生る 波多野幸子
殻を脱ぐ蝉生誕の翅の瑠璃 小原菁々子
月明にきそひ生れて鳴く蝉か 松村蒼石
吾とわが鈍くゐる日や蝉生る 大石悦子 聞香
梧桐の被爆の幹に蝉生る 川口崇子
生まれたる蝉にみどりの橡世界 田