「森見登美彦」の日記一覧

会員以外にも公開

洛西の竹藪に伝わる伝説

 森見登美彦の「シャーロック・ホームズの凱旋」を読了した。著者はファンタジー作家で、2003年に「太陽の塔」で第15回日本ファンタジーノベル大賞を受賞して作家デビューしている。本書は、舞台をヴィクトリア朝京都としたシャーロック・ホームズ譚の一種のパスティーシュである。  物語の舞台はヴィクトリア朝京都、すなわち、ヴィクトリア女王が統治する日本の首都の京都である。本書でホームズはベーカー街221B…

会員以外にも公開

【読書】夜は短し歩けよ乙女

題名:夜は短し歩けよ乙女 作者:森見登美彦  この物語は何と呼べば良いのだろう?  散りばめられる古き良き素敵な日本語たちが、時に洪水のように押し寄せて渦巻いていく。現実なのか妄想なのか判別できなくなる酩酊するような世界が繰り広げられていく。  大学のクラブで出会った後輩の「黒髪の乙女」に一目惚れをしてしまった「先輩」が、彼女を追いかけ続ける様子を「先輩」の一人称で語り続ける物語。  猫のよ…

会員以外にも公開

【読書】夜行

題名:夜行 作者:森見登美彦  この作家さんの名前を、ついこの間まで知らなかった。お気に入りさんと話しているときに教えてもらったのだが、京都を舞台にした作品が多いらしい。  本屋に立ち寄ったときに書棚を見てみると、なんとなく聞いた覚えもあるタイトルが並んでいる。アニメ化された作品が何本かあるらしいので、そのタイトルを見たことがあったのかもしれない。  しかし、今まで一度も読んだことがなく…

会員以外にも公開

曙光と夜行

 森見登美彦の「夜行」を読了した。著者はファンタジー作家で、2003年に「太陽の塔」で第15回日本ファンタジーノベル大賞を受賞してデビューしている。本書は、京都の鞍馬火祭りの夜に失踪した人物を巡るホラー風味の幻想小説である。  大橋を初めとする六人は、年齢は異なるが、京都で学生時代を過ごし、同じ英会話スクールに通った仲だったが、十年前、鞍馬の火祭りを訪れた夜に、仲間の一人の長谷川さんが突然姿を消…