「北村薫」の日記一覧

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月が綺麗ですね

 北村薫の「中野のお父さんと五つの謎」を読了した。著者は直木賞作家のミステリー作家で、「日常の謎」と呼ばれるジャンルを得意としているが、詩歌、一般文学への素養も深くエッセイ作家、アンソロジストとしても知られている。本書は、体育会系の出身で文芸誌の編集者である娘の田川美希が巡り合った文学に関わる様々な謎を、中野に住む、定年退職を間近に控えた高校の国語教師である父親が解くという、シリーズ第四作の連作…

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余はいかにして博覧強記となりしか

 北村薫の「水-本の小説-」を読了した。著者は直木賞作家であり、「日常の謎」と呼ばれるジャンルを得意とするのミステリー作家であるが、詩歌、一般文学への素養も深くエッセィ作家、アンソロジストとしても知られている。本書は、著者が日頃の読書の中で感じた疑問点を解明した経緯、担当編集者や文学関係者との対話の中で感じたことなどを心のおもむくままに綴った、一種のエッセイである。  本書は、新潮社が発行する…

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天衣無縫の正体

 北村薫の「中野のお父さんの快刀乱麻」を読了した。著者は直木賞作家のミステリー作家で、「日常の謎」と呼ばれるジャンルを得意としているが、詩歌、一般文学への素養も深くエッセィ作家、アンソロジストとしても知られている。本書は、体育会系の出身で文芸誌の編集者である娘田川美希が巡り合った文学に関わる様々な謎を、中野に住む、定年退職を間近に控えた高校の国語教師である父親が解くという、シリーズ第三作の連作短…

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著者別インデックス:国内(北村薫)

1.空飛ぶ馬-円紫さんと私シリーズ- (1989.03) 2.夜の蝉-円紫さんと私シリーズ- (1990.01) 3.覆面作家は二人いる-覆面作家シリーズ- (1991.01) 4.秋の花-円紫さんと私シリーズ- (1991.02) 5.六の宮の姫君-円紫さんと私シリーズ- (1992.04) 6.冬のオペラ (1993.09) 7.水に眠る (1994.10) 8.スキップ-時と人シリーズ- …

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果てなき連想ゲーム

 北村薫の「雪月花-謎解き私小説-」を読了した。著者は直木賞作家のミステリー作家で、「日常の謎」と呼ばれるジャンルを得意としているが、詩歌、一般文学への素養も深くエッセィ作家、アンソロジストとしても知られている。本書は、著者が日頃の読書の中で浮かんできた疑問を徹底的に追求した経緯を、いつものミステリーではなく、私小説という形で著したものであるが、どちらかと言えばエッセイに近い。  「よむ」:中村…

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コタツ探偵の名推理

 北村薫の「中野のお父さんは謎を解くか」を読了した。著者は直木賞作家のミステリー作家で、「日常の謎」と呼ばれるジャンルを得意としているが、詩歌、一般文学への素養も深くエッセィ作家、アンソロジストとしても知られている。本書は、体育会系の出身で文芸誌の編集者である娘田川美希が巡り合った文学に関わる様々な謎を、中野に住む、定年退職を間近に控えた高校の国語教師である父親が解くという、シリーズ第二作の連作…

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沖縄の民俗を尋ねて

 北村薫の「小萩のかんざし-いとま申して 3-」を読了した。著者は直木賞作家で、「日常の謎」と呼ばれるジャンルのミステリーが得意だが、詩歌、一般文学への素養も深くエッセーの作者としても知られている。本書は、著者の父親である宮本演彦(のぶひこ)氏の遺した日記を主資料とし、その他の資料を併せ読むことにより考証した結果を、伝記風の小説として描いたものである。本書は第三巻の最終巻で、演彦が慶應本科卒業後…

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記憶を紡ぐ

 北村薫の「ヴェネツィア便り」を読了した。著者はミステリー畑の直木賞作家であり、「日常の謎」と呼ばれるジャンルを得意としているが、詩歌、一般文学への素養も深くエッセイスト、アンソロジストとしても知られている。本書は、様々な媒体に発表された著者の小品を収録した短編集であるが、掌編と呼ぶべきものも多い。  「麝香連理草」:1ページのホラー掌編で、麝香連理草とはスイトピーのこと。南洋で蝶の採取を行って…

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人知を越えた難事件

 北村薫の「遠い唇」を読了した。著者はミステリー畑の直木賞作家であり、「日常の謎」と呼ばれるジャンルを得意としているが、詩歌、一般文学への素養も深くエッセイスト、アンソロジストとしても知られている。本書は、「冬のオペラ」の主人公の巫弓彦が久々に登場する「ビスケット」を含む、7篇からなる短編集である。  「遠い唇」:経済学教授の寺脇はコーヒーを飲みながら、学生時代に所属していたミステリーサークルの…

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美しく織られた言葉の謎

北村薫の「うた合わせ−北村薫の百人一首−」を読了した。著者は直木賞作家のミステリー作家で、「日常の謎」と呼ばれるジャンルのを得意としているが、詩歌、一般文学への素養も深くエッセィ作家、アンソロジストとしても知られている。本書は、50のテーマに対し、それぞれ2首の現代短歌を選択し、合わせて百人一首としたものである。それぞれのテーマについては、さらに数〜十種首の短歌も併せて収録し、著者が独自の解釈を…

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句点の置き所

北村薫の「中野のお父さん」を読了した。著者は直木賞作家のミステリー作家で、「日常の謎」と呼ばれるジャンルのを得意としているが、詩歌、一般文学への素養も深くエッセィ作家、アンソロジストとしても知られている。本書は、体育会系の出身で文芸誌の編集者である娘田川美希が巡り合う様々な日常の謎を、中野に住む、定年退職を間近に控えた高校の国語教師である父親が解く、連作短編集である。  「夢の風車」:美希は、推…

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文学作品に潜む謎

北村薫の「太宰治の辞書」を読了した。著者は直木賞作家のミステリー作家で、「日常の謎」と呼ばれるジャンルのを得意としているが、詩歌、一般文学への素養も深くエッセィ作家、アンソロジストとしても知られている。本書は「円紫さんと私」シリーズの第六作で、3篇からなる連作短編集であり、シリーズとしては17年ぶりの新刊である。  前作「朝霧」で、大学を卒業して中堅出版社の編集者となった主人公の「私」は、17年…

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知の巨人達

北村薫の「慶應本科と折口信夫−いとま申して 2−」を読了した。著者は直木賞作家で、「日常の謎」と呼ばれるジャンルのミステリーが得意だが、詩歌、一般文学への素養も深くエッセーの作者としても知られている。本書は、著者の父親である宮本演彦(のぶひこ)氏の遺した日記を主資料とし、その他の資料を併せ読むことにより考証した結果を、伝記風の小説として描いたものである。本書は第二巻で、演彦が20歳の慶應予科時代…

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空飛ぶ鰻重の伝説

北村薫の「八月の六日間」を読了した。著者は直木賞作家で、「日常の謎」と呼ばれるジャンルのミステリーが得意だが、詩歌、一般文学への素養も深くエッセーの作者としても知られている。著者は比較的寡作で、本書は小説としては3年ぶりの作品である。本書は、登山の魅力に目覚めたアラフォー女性編集者の登山行と、日常生活に対する彼女の思いが綴られた5篇の短編からなる連作短編集である。  物語の開始の時点で主人公は、…

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『童話』を巡る人びと

北村薫の「いとま申して−『童話』の人びと−」を読了した。本書は、著者の父親である宮本演彦(のぶひこ)氏の遺した日記の内、14歳から20歳までの部分を主資料として、伝記風の小説として描いたものである。創作にかける情熱等、父親の青春を描くことにより、結果として、父親と同時代に生きた若者たちの生き様も併せて描かれることになっている。表題の「いとま申して」とは、父親の辞世の句から採ったもので、別れを告げ…

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今年一番楽しめた本

北村薫の「飲めば都」を読了した。本書は、編集者の小酒井都(みやこ)を主人公とした、酒に纏わる12編の連作短編集である。  都さんは、本人は自覚していなかったが、酒が好きで、しかもたくさん飲めるようだ。しかし、何故か、失敗が付き纏うし、記憶をなくすこともある。入社早々、編集長のシャツに赤ワインを浴びせてしまった話。折角頂いた対談原稿の入ったバッグを何処かに置き忘れた話。etc.失敗は数々ある。酒の…