「辻村深月」の日記一覧

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普通の幸せを求めて

辻村深月の「鍵のない夢を見る」を読了した。著者は、メフィスト賞出身のミステリー作家で、本書で昨年、第147回直木賞を受賞している。本書は、独立した5篇の短編を収録した短編集であるが、下記の題名で判る通り、5篇はいずれも何らかの犯罪と関わりがあり、広義のミステリーと言える。  「仁志野町の泥棒」:母と共に観光バスに乗ったミチルは、バスガイドの顔を見て驚いた。それは、小学校三年生で転校してきてミチル…

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少女の望む死に方

辻村深月の「オーダーメイド殺人クラブ」を読了した。著者は、「冷たい校舎の時は止まる」で第31回メフィスト賞を受賞してデビューし、本年「鍵のない夢を見る」で直木賞を受賞している。  本書の主人公小林アンは、バスケットボール部に所属する中学二年生の普通の女の子である。彼女の名前の由来は、彼女の母が熱烈に愛好する「赤毛のアン」であり、娘にアンの様になってほしいと望む母親は、娘に対して無邪気に干渉を繰り…