「葉室麟」の日記一覧

会員以外にも公開

やっぱり明治維新は嫌いだ

天翔ける      葉室麟 4~5日前に読み終わって居た葉室麟の2冊目。 読後感想が纏まらず今日までになってしまった。 内容はすごく良かったと思います。 でもそれだけじゃ感想にもならないので色々考えて居ました。しかし、元来オイラは明治維新について否定的なので、何を書こうか迷ってました。 主人公松平春嶽について殆ど知らない。 司馬遼太郎の竜馬がゆくで登場するので、好感は持ってましたがその程度。…

会員以外にも公開

蜩の子供達

 葉室麟の「草笛物語」を読了した。著者は直木賞作家で、時代・歴史小説がテリトリーであり、出身地である北九州を舞台とした作品が多い。本書は直木賞受賞作の「蜩ノ記」を初めとする、豊後の架空の小藩羽根藩を舞台としたシリーズの第五作で、「蜩ノ記」の十六年後の後日談になる。  周囲から泣き虫颯太と揶揄される十三歳の赤座颯太は、羽根藩江戸屋敷で世子で同じ歳である鍋千代の小姓として仕えていたが、父母を同時に失…

会員以外にも公開

キーワードは友情だった

墨龍賦   葉室麟 表紙の龍の絵に魅かれて、作者を観ずに購入。 作者が葉室麟とは思わなかった。 人気作家の作品で流石に読み易かったが、残念ながら昨年亡くなったとか。 絵師海北友松は、デビュー前から書きたかったと帯に。 海北友松と言う絵師は知りませんでした。 美術は好きで、美術館にも結構足を運んでいるし、近くの図書館で図鑑を観たりと、それなりに知識は有るのだが。 尤も、絵は好きですが、誰が描…

会員以外にも公開

大沢池を彩る草花

 葉室麟の「嵯峨野花譜」を読了した。著者は直木賞作家で、時代・歴史小説がテリトリーであり、出身地である北九州を舞台とした作品が多い。本書は、京都大覚寺の花務僧である少年僧胤舜の成長を描いた、十章からなる時代小説である。  ストーリーの展開から徐々に判って来るが、主人公の胤舜は、後に老中となって天保の改革を行う水野忠邦の妾腹の息子であり、忠邦に見捨てられ、生母とも生き別れになり、真言宗大覚寺派大本…

会員以外にも公開

葉室麟追悼コーナー

先般、図書館に行ったら、「葉室麟追悼コーナー」ができていてびっくりした…。葉室麟は遅咲きの小説家で、直木賞作品の「蜩の記」が岡田准一、役所広司の主演で映画化され、最も油の乗った時代小説作家であり、実に残念である。秋山香乃さんと同郷の北九州市出身で、秘かに応援していた。葉室作品の特徴は、主人公の強烈なキャラクターと鉄の意志により、どんな悲惨な状況でもブレない点で!いつしか感情移入してしまう。特に「…

会員以外にも公開

吉之助と一蔵

 葉室麟の「大獄-西郷青嵐賦-」を読了した。著者は直木賞作家で、時代・歴史小説がテリトリーであり、出身地である北九州を舞台とした作品が多い。本書は、薩摩藩主島津斉彬に見出された西郷隆盛の、維新前夜の若き日の活躍を描いた歴史小説である。  弘化3年(1846年)、フランス艦隊が琉球を訪れ、開国を迫る。その年、薩摩藩の世子の島津斉彬が江戸から帰国する。世間には英邁で知られる斉彬は既に38歳であるが、…

会員以外にも公開

葉室麟さんのご冥福を祈ります。

風邪気味で、夜更けに自分の咳で目を覚まし、何気なくネットニュースを観て目を疑いました。 大好きな作家さんのお一人、葉室麟さんの訃報です。 まだ若い。享年66。 今も、読み直し中の彼の小説が机の上にあります。 遺作となった「天翔ける」を入手して、弔いながら読まさせていただきたいと思っています。 合掌

会員以外にも公開

葉室麟の「草笛物語」。

★3.3 「蜩ノ記」の次世代の物語。 江戸で世子の小姓だった13歳の颯太が両親を亡くして国許に移り住むところから物語は始まる。 世話になったのは檀野庄三郎と妻・薫のいる藩の薬草園。戸田秋谷の息子・郁太郎は30歳近くで順右衛門を名乗っている。 世子は藩主に就き吉通と名乗るが、一門衆の月の輪様と呼ばれる左近が暗躍し始めた。颯太を中心とする若者たちの活躍譚。順右衛門は存在感はあるものの活躍する場…

会員以外にも公開

男の嫉妬が滅ぼしたもの

 葉室麟の「風かおる」を読了した。著者は直木賞作家で、時代・歴史小説がテリトリーであり、出身地である北九州を舞台とした作品が多い。本書は、筑前国黒田藩を舞台とし、出世と愛する女性を巡る男の嫉妬が招いた悲劇を描いた時代小説である。  黒田藩郡方五十石渡辺半兵衛の三女の菜摘は、幼くして同藩の竹内佐十郎のもとに養女に出されたが、佐十郎が同藩を致仕したため、離縁されて実家に戻される。佐十郎は、妻の松江が…

会員以外にも公開

シーボルトの遺したもの

 葉室麟の「潮騒はるか」を読了した。著者は直木賞作家で、時代・歴史小説がテリトリーであり、出身地である北九州を舞台とした作品が多い。本書は、「風かおる」の続編で、物語の舞台を博多から長崎に移し、夫殺しの疑いをかけられて逃避行を続ける女性を救おうとする菜摘とその周囲の人々の活躍を描いた時代小説である。  前作で描かれた事件のため、鍼灸医の菜摘は、弟の渡辺誠之助および眼科医稲葉照庵の娘千沙とともに博…

会員以外にも公開

上意討ちに抗して

 葉室麟の「風のかたみ」を読了した。著者は直木賞作家で、時代・歴史小説がテリトリーであり、出身地である北九州を舞台とした作品が多い。本書は、藩主の後継者問題から上意討ちに遭った一族の女性達と、彼女達を見守る女医の姿を描いた時代小説である。  物語の舞台は、九州豊後の架空の安見藩の城下で、主人公は、町医者桑山昌軒の一人娘で、23歳の女医の伊都子である。  伊都子は、大阪の緒方洪庵の適塾で学びたいと…

会員以外にも公開

六十にして立つ

 葉室麟の「墨龍賦」を読了した。著者は直木賞作家で、時代・歴史小説がテリトリーである。本書は、武家出身で生涯武人の魂を持ち続けたと言われる、桃山時代の絵師海北友松の生涯を描いた歴史小説である。  物語は、京都で細々と絵屋を営んでいた友松の息子の小谷忠左衛門(後の海北友雪)が、徳川三代将軍家光の乳母である春日局により江戸に呼び出され、御用絵師となるところから始まる。春日局は友雪に父親のことを尋ねる…