薬丸岳の「最後の祈り」を読了した。著者はミステリー作家で、2005年に「天使のナイフ」で第51回江戸川乱歩賞を受賞して、作家デビューしている。本書は、実の娘を殺害された牧師が、教誨師として犯人の確定死刑囚にある種の「復讐」をしようとする姿を描いた社会派ミステリーである。 　物語は東京拘置所で服役していた確定死刑囚の工藤義孝が、死刑執行を告げられて錯乱し、刑務官に取り押さえられて絞首刑が執行さ…

新しい作家との出会い。それは新聞広告だったり、雑誌やネットでの書評だったり、知人から勧められて読んでみる事もあります。 以前にSNSで知り合った〝高身長未亡人熟女〟のメル友さんが好きな作家だと言うので薬丸岳を知りました。 〝高身長未亡人熟女〟だなんてセクシービデオのタイトルみたいで恐縮ですが(-"-)、彼女にはお会いした事は無いのですが、本人のプロフィールから、背が高い・独身（死別）・50代…

　薬丸岳の「罪の境界」を読了した。著者はミステリー作家で、2005年に「天使のナイフ」で第51回江戸川乱歩賞を受賞して、作家デビューしている。本書は、自分の身代わりとなって亡くなった無差別通り魔事件の被害者の最後の言葉の謎を追う、同じ事件の被害者の女性の姿を描いたミステリーである。 　本書の主人公の浜村明香里は練馬区内の小学校で事務員をしている二十六歳の女性である。彼女には大学時代に合コンで知…

　薬丸岳の「刑事弁護人」を読了した。著者はミステリー作家で、2005年に「天使のナイフ」で第51回江戸川乱歩賞を受賞して、作家デビューしている。本書は、現役の女性刑事が起こしたホスト殺人事件の弁護を引き受けることになった、若手の女性弁護士の姿を描いたリーガルミステリーである。 　本書の視点人物は、30歳の弁護士の持月凛子であるが、彼女は人権派弁護士として著名な細川正隆の細川法律事務所に勤務してか…

　薬丸岳の「ブレイクニュース」を読了した。著者はミステリー作家で、2005年に「天使のナイフ」で第51回江戸川乱歩賞を受賞して、作家デビューしている。本書は、毀誉褒貶半ばする中で、独自の取材を行い、ＳＮＳで「ブレイクニュース」を配信する、自称ジャーナリストの野依美鈴の姿を描いた社会派の連作ミステリーである。 　主人公の美鈴は、年齢や経歴は不詳であるが、美人の上に胸元がやや露出過剰な状態でインタビ…

　薬丸岳の「告解」を読了した。著者はミステリー作家で、2005年に「天使のナイフ」で第51回江戸川乱歩賞を受賞して、作家デビューしている。本書は、飲酒運転により老女を轢き逃げし、実刑判決を受けた青年のその後の人生を描いた贖罪の物語である。 　超一流大学の京北大学生である籬翔太（二十歳）は、ある夜アルバイト仲間と上尾駅の近くの居酒屋で酒を飲んでいたが、恋人で栄養士専門学校生である栗山綾香と喧嘩した…

１．天使のナイフ　（2005.08） ２．闇の底　（2006.09） ３．虚夢　（2008.05） ４．悪党　（2009.07） ５．刑事のまなざし－刑事夏目信人シリーズ－　（2011.06） ６．ハードラック　（2011.09） ７．死命　（2012.04） ８．逃走　（2012.10） ９．友罪　（2013.05） 　　https://smcb.jp/diaries/623…

　薬丸岳の「蒼色の大地」を読了した。著者はミステリー作家で、2005年に「天使のナイフ」で江戸川乱歩賞を受賞して、作家デビューしている。本書は、文芸誌の「小説ＢＯＣ」で行われた、八名の作家による「人間の対立」をテーマにした競作である「螺旋プロジェクト」の中の一冊で、「明治篇」である。 　物語の舞台は、明治十七年の瀬戸内海である。青い目を持つために、幼い時から「青鬼」と呼ばれて迫害されてきた灯（あ…

　薬丸岳の「刑事の怒り」を読了した。著者はミステリー作家で、2005年に江戸川乱歩賞を受賞して、作家デビューしている。本書は、「刑事・夏目シリーズ」の第４作で、４篇からなる連作短編集である。 　主人公の夏目信人は、少年鑑別所で法務技官として働いていたが、四歳の娘の絵美が何者かにハンマーで殴られ、植物状態になったことをきっかけに、40歳を過ぎて警察官に転職したという異色の経歴を持つ。本書で夏目は、…

　薬丸岳の「ガーディアン」を読了した。著者はミステリー作家で、2005年に江戸川乱歩賞を受賞して、作家デビューしている。本書では、赴任先の中学校に存在する、匿名生徒による自警団「ガーディアン」の正体を追求する教師の苦悩が描かれる。 　東京スカイツリーの近くにある墨田区の石原中学校に赴任して半年の英語教師の秋葉悟朗は、三年Ａ組の担任と演劇部の顧問をしている。秋葉は石原中学校が、二、三年前は荒れてい…

　薬丸岳の「ラストナイト」を読了した。著者はミステリー作家で、2005年に江戸川乱歩賞を受賞して、作家デビューしている。本書では、前科5犯で人生の大半を刑務所で送った男の、犯罪動機の謎が描かれる。 　宮城刑務所で4度目の服役を終えた片桐達夫は、その足で東京の赤羽に向かう。片桐は、顔全面に豹柄の入墨を入れており、左手は義手のため、他人を驚かせる姿をしている。 　赤羽で居酒屋の菊屋を経営している菊池…

　薬丸岳の「Ａではない君と」を読了した。著者はミステリー作家で、少年犯罪をテーマにした「天使のナイフ」で2005年に江戸川乱歩賞を受賞して、作家デビューしている。本書は、殺人を犯したとして逮捕された中学2年生の息子を持つ父親の苦悩を描いたリーガルサスペンスである。 　本書の主人公で、とある建設会社の中間管理職である吉永圭一は、担当していた新事業の企画が認められたため、部下達と祝賀会を行っていたが…

薬丸岳の「アノニマス・コール」を読了した。著者はミステリー作家で、2005年に江戸川乱歩賞を受賞して、作家デビューしている。本書では、冤罪で警察を辞めた元刑事が巻き込まれた娘の誘拐事件が描かれる。 　本書の主人公の朝倉真志は元神奈川県警の敏腕刑事であったが、現在は派遣社員として埼玉県の工場に勤めている。ある日朝倉は居酒屋で、同じ工場で働くアルバイトの戸田純平の喧嘩を止め、泥酔してバイクで帰宅しよ…

薬丸岳の「誓約」を読了した。著者はミステリー作家で、少年犯罪をテーマにした「天使のナイフ」で2005年に江戸川乱歩賞を受賞して、作家デビューしている。本書では、過去に犯した罪の清算のために、殺人を強要された男の苦悩が描かれる。 　本書の主人公の向井聡は、レストランバー「ＨＥＡＴＨ」の共同オーナーで、バーテンダーである。向井は15年前、店の客だった落合幸広に強引に誘われて埼玉県の川越市でレストラン…