バルト海の三つの都市
皆川博子の「風配図-WIND ROSE-」を読了した。著者は直木賞作家で、ミステリーから怪奇・幻想小説を幅広く手掛けており、今年93歳になるが、今でも現役作家として活躍している。本書は、バルト海交易で栄える十二世紀の三都市を舞台に、交易商人として生きようとした二人の少女を描いた一種の歴史小説である。 物語は1160年5月のゴッドランド島で始まる。同島はバルト海に浮かぶ最大の島であり、住人は…
皆川博子の「風配図-WIND ROSE-」を読了した。著者は直木賞作家で、ミステリーから怪奇・幻想小説を幅広く手掛けており、今年93歳になるが、今でも現役作家として活躍している。本書は、バルト海交易で栄える十二世紀の三都市を舞台に、交易商人として生きようとした二人の少女を描いた一種の歴史小説である。 物語は1160年5月のゴッドランド島で始まる。同島はバルト海に浮かぶ最大の島であり、住人は…
皆川博子の「インタヴュー・ウィズ・ザ・プリズナー」を読了した。著者は直木賞作家で、ミステリーから怪奇・幻想小説を幅広く手掛けており、今年91歳になるが、今でも現役作家として活躍している。本書は、エドワード・ターナー三部作の完結編で、2012年に第12回本格ミステリ大賞を受賞した「開かせていただき光栄です」、および「アルモニカ・ディアボリカ」の続編であり、殺人を犯した罪を償うために、志願兵となっ…
1.開かせていただき光栄です−DILATED TO MEET YOU− (2011.07) https://smcb.jp/diaries/4108491 2.マイマイとナイナイ(怪談えほん 2) (2011.10) https://smcb.jp/diaries/6360992 3.双頭のバビロン (2012.04) https://smcb.jp/diaries/500…
皆川博子の「U(ウー)」を読了した。著者は直木賞作家で、ミステリーから怪奇・幻想小説までを幅広く手掛けており、今年88歳になるが、今でも現役作家として活躍している。本書は著者の最新作であり、占領地からオスマン帝国皇帝への貢ぎ物とされた少年達が、不老の体を手に入れ、300年後の第一次大戦下でドイツのUボート(潜水艦)に乗り組むまでを描いた幻想小説である。 本書のストーリーは、U-Bootという…
皆川博子の「クロコダイル路地(1、2)」を読了した。著者は直木賞作家で、ミステリーから怪奇・幻想小説までを幅広く手掛けており、今年87歳になるが、今でも現役作家として活躍している。本書は著者の最新作であり、フランス革命時代の暗黒面の血塗られた歴史を描いた作品である。 本書は、フランスのナントで貿易商を営む大ルジョアのテンプル家嫡男ロレンス(ローラン)・テンプル、フランスの帯剣貴族の嫡男フランソ…
皆川博子の「アルモニカ・ディアボリカ」を読了した。著者は直木賞作家で、ミステリーから怪奇・幻想小説を幅広く手掛けており、今年86歳になるが、今でも現役作家として活躍している。本書は著者の最新作である。本書は2012年に第12回本格ミステリ大賞を受賞した「開かせていただき光栄です」の続編である。なお本書は、事件の推移とナイジェルの回想(手記)が交互に描かれる。また本書で「アルモニカ」とは、ベンジャ…
皆川博子の「双頭のバビロン」を読了した。著者は直木賞作家で、ミステリー、怪奇・幻想小説を主に手掛けている。本書は、19世紀末のウィーンで生まれ、切り離された結合(シャム)双生児ゲオルクとユリアンのその後の数奇な運命を描いた物語である。物語は、ゲオルクとユリアンの独白を中心として、時代を行きつ戻りつしながら綴られる。 物語は、ハリウッドで映画監督として成功したゲオルクが、自伝作成のため速記者のエ…
皆川博子の「開かせていただき光栄です−DILATED TO MEET YOU−」を読了した。著者は、今年82歳になるが、今でも現役作家であり、本書は著者の最新作である。なお、「Dilated to Meet You」とは、「Delighted to Meet You(お目にかかれて光栄です)」のもじりで、主人公達が解剖を開始する際に発する言葉である。 本書の舞台は18世紀のロンドンで、外科医が…