「佐藤正午」の日記一覧

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彷徨える魂

 佐藤正午の「月の満ち欠け」を読了した。著者はミステリー畑出身の作家である。本書は、月の様に死んでは生まれ変わることを繰り返す女性「瑠璃」の魂の彷徨を描いた物語で、2017年第157回直木賞受賞作である。  物語は青森県の八戸市から上京した小山内堅が、亡くなった娘の瑠璃の親友で人気女優の緑坂ゆいと、彼女の娘で7歳の緑坂るりに会う場面から始まる。小山内は緑坂母娘と会う席に、瑠璃が描いた絵を持って来…

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本屋さん、ごめんなさい。

普段 本は 図書館で借りる ブックオフで買う アマゾンの中古で買う が。ほとんどです。 新刊本で、どうしても読みたいものは 「本当に、いいんだね。後悔しないね?」と へんな独り芝居のあと、 慎重に買います。 でも、たまに書店をのぞくと いろんな本があり(当たりまえか) 雑誌 立ち読み 新刊本 立ち読み かわいい 文房具 立ち見 新製品のボールペンのためし書き。かきかき ちょー楽…

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平成のダメ男

佐藤正午の「鳩の撃退法(上、下)」を読了した。著者は分類の難しい小説家であるが、一応ミステリー系の作家だと思われる。本書は、同時に起こった一家失踪事件と偽札事件を描いたミステリー風のメタフィクションである。  本書の語り手は、才能があるのに女にだらしなく、女性とのトラブルが原因で出版界を追われた元ベストセラー作家の津田伸一である。  本書の物語は、三つの時間軸で構成されている。第一の時間軸は現在…