「あんたがどうしてそんなに生きることに苦しんでいるか教えてやるよ。それはね、四六時中、己のことばかり考えているからだよ!己の心がどうだこうだって、まっとうな奴はそんなこと考える暇なんかありゃしないんだよ!」 「その、まっとう、というのはどういう意味でしょうか?己の心の内を省みることなく銭金や私欲のために生き続けることが“まっとう“ということでしたら、わたくしはそんなもの・・・・」 「“まっ…
これまで、読書はひとり(独り)で楽しむもの、いわば自己完結型の楽しみと思ってきた。好きな作家の作品(例えば、小説)を読んだとき、自分なりの読後感を持ってはいたが、あるきっかけで、同じ作品の他の読者が、自分の気付かなかった読後感を持っていることを知り、非常に新鮮な興味を覚えた。 なぜなら、それまでは、読後感は、小説のストーリーが同じならば、読者の違いによる差はさほどないのでは?と思っていたからだ。…