「俳句日記」の日記一覧

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句日記「しをり草」

8月9日(木)晴時々曇り 36℃/26℃  廃線の 駅舎が草に はや晩夏  隠し金 あるかも知れぬ 落し文  種付けて 鳥を恃みの 櫟の葉  来るべき 時をひそかに 青石榴  無造作に 風が染めたる 百日紅  かヽさぎの 妻恋ふ声の うらぶるや  見返りの 滝は飛沫を 浴びるほど  九相図は 小野小町や 晩夏際  病窓へ 一筆箋の 残暑見舞  足許の 昏さに適ふ 野のさゆり

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句日記「しをり草」

8月7日(日)立秋 雷雨のち曇り 34℃/27℃  くさぐさの 風の乱れに 秋立ちぬ  内外の 萎え目立ちて 秋に入る  気持ちだけ 風を感じて 秋立ちぬ  浮石は 虎の子渡し 出水川  花を得て 何に狩りする 子蟷螂  地の神の 障りによりて ほたる草  盆菓子の 売り子冷やかし 三つほど  ひとり夜の 「ファド」を流せば 星月夜  はやすでに 雁来紅は 色濃くて  立秋や…

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句日記「しをり草」

8月5日(金)曇り時々雨 33℃/27℃  蟻塚も ほんの束の間 自然の理  先兵に 帰る途ある 蟻の群  蝉しぐれ 帽子のつばを 正しをり  蜩の 雌雄の声も 切れ目なく  蟷螂が 蜜を求めて おじゃります  面影を 重ねて居れば 玻璃茉莉  気を病むは 芙蓉の花の 精かしら  美学とは 風に吹かるゝ 蛇の衣  帽子まで 黒づくめなる 炎天下  言問ひの 返事を待てば 落し文

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句日記「しをり草」

8月3日(水)晴時々曇り 36℃/27℃  遠目にも 誰かが気づく 葉鶏頭  導きの 小灯しなるや 野の小百合  毬栗の まだ青かれば 空仰ぐ  眠られぬ 雨風ばかり 野分来て  夏潮に 小舟を漕ぎて ニライカナイ  虹立てば 無常の風も いつしかに  おほかたは 選択肢なき 暑気中り  暑気中り われ黄泉門まで 行ってきたじゃ  車椅子より 立ち上がる 片蔭り  日盛りに …