「俳句日記」の日記一覧

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句日記「しをり草」

8月28日(日)晴時々曇 31℃/21℃   百回の 見立てを質す 名の千草  淋しきと 思はば寂し 蝉しぐれ  訳ありの 通ひ妻来る 男郎花  老骨が 恋に落ちませ 女郎花  初秋とて まだ露出度の 多き街  潮の香の 初秋の宿は 磯伝ひ  秋雨の 長引く宿に 菌生ゆ  夕顔や 頼家さまは 修善寺へ  蜩の はたりと止めば 何やある …

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句日記「しをり草」

8月27日(土)晴時々曇り 31℃/22℃  人影を 黄菅の花に 問ふばかり  校庭に 球の音して 虎杖の花  落雷に 燭を点して 晩ご飯  新涼の 心と袖を 嶺屋敷  銘酒とは 秋の七草 満ちるとこ  水分神を 越せばそのまヽ 葛ヶ原  伝承の 小宰が局 萩の花  石文は 刑場址や 桐一葉  慰霊碑に 一同礼と 百日白  落ちるまで …

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句日記「しをり草」

8月26日(金)曇り 31℃/23℃  熱帯夜 久方ぬけて 清し朝  百日草 きのふ別れし 人なのに  少年の 恋愛語る 女郎花  八勺の 冷酒に 酔うて候  コンテナの クレーンも灼ける 秋暑し  誰とでも 仲良しになれる 松葉菊  白ながら どこにも染まず 玻璃茉莉  サンダルの ペニュキアばかり 晩夏去る  鳶と鷺 界をめぐりて 漁をす…

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句日記「しをり草」

8月25日(木) 晴時々曇り 31℃/24℃  手をつなぎ 踊りし人は 今いづこ  みちのべの 小灯しとなる 月見草  みんみん蝉を 耳にして 診断書  雁来紅の 風を余して 鮮やかに  目に入れて デイゴのあなた 雲の形  カッパ虫を 高野聖と これ如何に  絡まれて 笑っておじゃる 凌霄花  本心を 伺ふべきも 白木槿  いつしかに 予後…

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句日記「しをり草」

8月24日(水)曇りのち雨 33℃/25℃  風蘭の ここ山中は 坊もなし  石斛の 花だけ残し 主逝く  半袖が 少し気になる 処暑の風  猫もまた 処暑の風をば それとなく  無袋なる 津軽をしのぶ 青りんご  秋霖の 水分神を はるかして  かつてその 与論の島の 仏桑花  百日白 遊び心を よしとして  乙女とは 呼ばれて久し 百日紅…

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句日記「しをり草」

8月23日(火)曇り時々晴れ 33℃/26℃  一葉落つ 蛇口のゆるき 外流し  若木もて 金居祝の 花うるし  百日紅 放物線は 空の縁  空堀の 笹百合ばかり お辞儀して  うたかたの 於母影空に 遠花火  納骨を 済ませば塔の 秋の空  白鷺の 漁を済まして 嘴拭ひ  鬼灯の 虫食ひならば これも味  あの人の 灯籠船は もやい船 …

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句日記「しをり草」

8月22日(月)晴時々曇り 33℃/25℃  無門庵まで 来ましたぞ 法師蝉  お仕舞は 法師で終る つくつくし  秋霖や 迂回路のなき 崖崩れ  幼などちの 行方は杳と 一葉落つ  従順な 巽に風に ゑのこ草  就中 心耳の縁を 草の虫  神の手の 感じぬ花や 烏瓜  なかなかに 呪縛が解けぬ のうぜん花  人待てば 笑みを浮かべる 松葉牡…

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句日記「しをり草」

8月21日(日)雨のち晴 34℃/27℃  毒もまた 薬の一つ 灸花  空蝉に 耳傾ける 送り人  うたかたの 恋に狂うて 蝉の殻  熟れすぎ ゴーヤの色も 興趣あり  耳鼻科にも 行かねばならぬ 虫の声  多分その 空念仏じゃ 落し文  オリーブの 青き実ならば お楽しみ  これしきの 気持ちばかりの 秋扇子  逃げるなと 云うても逃げる …

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句日記「しをり草」

8月20日(土)曇り時々雨 34℃/27℃  秋暑し コロナの波は 高みまで  秋雨の 降水帯を 目の当り    かめ穴の 砂は残さず 出水川  明日葉を 抱へて帰る 秋の雲  秋空に 比ぶるものなし 観覧車  船溜まりの 一樹をもって 秋涼し  大岩に 麦稈帽の 影を追ふ  果て際を 知るかのやうな 法師蝉  風よりも 気持ちが欲しき 秋団扇…

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句日記「しをり草」

8月19日(金)曇り 34℃/25℃  改めて 新ほとけの 顔泛べ  あん時の 欠礼詫びて 盆の月  ひととこに 三つも在はす 落し文  一葉掃く 庭は鑑の 風次第  うたかたの 三日ばかりや 野の小百合  紅白の ペチュニアならで 秋涼し  鈴懸の 風の分だけ 秋涼し  縁がなかったと 諦めて 秋の空  青稲の うち振る波は 畳畳と …

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句日記「しをり草」

8月18日(木)雨のち曇り 33℃/25℃  庭主の 疲れが目立つ 初雪かづら  相槌の 相手でござる 走馬燈  名の花と 今問はぶれば 風の脚  坊址は 礎石ばかりや 山独活の花  かヽるして 臭木の花の 仕舞ぶり  屋敷の名 未だ杳とし のうぜん花  倒木の 思案ぶりなる 出水川  偶然が また見つかるかも 流灯会  芋虫の 秋が来たぞと…

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句日記「しをり草」

8月17日(水)雨 雷雨 31℃/26℃  一葉落つ わらべ唄なら ひとりでに  見るからに 百合の萎れの 見て取れて  胸を病む 芙蓉の花の 精ながら  霧深き 闇かきまわす 船溜り  大方は 脛に創ある 灸花  退院の 知らせを受けて 日輪草  銀漢や 野芥の毛揃ふ 扇ヶ原  人魚を 探し求めて 盆の海  どことなく 人間臭き 盆の月  天平の 鐘の静かな 霊送

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句日記「しをり草」

8月16日(火)曇り一時雨 35℃/29℃  霊送り お連れなされし 女官俑  呼ばれたら 一緒に帰る 霊送  それぞれの 名をつぶやきて 霊送  一つだけ 潮に逆らふ 流灯会    流灯の 水は鏡の 風も無し  墓処なき 散骨でござる 霊送  霊送り 笑みを浮かべる 陶たぬき  ひとり夜の 「カバチナ」流し 霊送  他人事でなき 寝た切りの 芋虫かな  遠縁に 似た人が来た …

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句日記「しをり草」

8月15日(月)終戦日 曇り35℃/28℃  呼び戻す ふとあの声を 終戦の日  九相図を 重ねてみるも 盂蘭盆会  就中 白雪草の 霊迎  反戦の 詩歌を托す 敗戦忌  一木が 一山となる 青毬栗  葉鶏頭 荒ぶる魂を 鎮めなされ  終戦日 特攻に発った 教官機  敗戦日 空絵に描く 米の飯  なにやらに 泪目となる 盆の月  捲きかけの 落し文なら なほさらに

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句日記「しをり草」

8月14日(日)盂蘭盆会 曇り 34℃/27℃  戦争の 影を未だに 盆灯籠  南北に 出水や火事の 盆ながら  岳友の 夫婦ともども 初盆会  魂囲む ハツユキカヅラ 霊祭  父返せ かの戦争の 盂蘭盆会  養女には 致しませんと 合歓の花  亡き友は 雲間隠れに 天の川  名の君を 聞くともなしに 草の花  残されて 自己防疫の 盆の頃  青森の りんごを悼む 出水川  

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句日記「しをり草」

8月13日(土)曇りのち雷雨 32℃/26℃  行く夏を おもかげ人と 惜しみけり  ご先祖を どこまで辿る 霊迎  今生の ともしび点す 霊迎  初秋の あびきが上がる 羅漢川  村相撲の 土俵開きの 回覧板  篠懸の 木陰のベンチ 秋涼し  亡き友と いづれまた会ふ 秋の海  空蒼く 散骨を待つ ヨットかな  草叢の 深さも知らず 一葉落つ  予見できぬ 悔しさにまた 出…

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俳句日記から

入院していると結構時間があるので、2年前に書いた自分史の中から駄句を拾い出してみた。俳句の改題・自評というのは普通しないものかもしれないが、素人なので許してもらおう。 俳句日記から(自薦句と自評) 2016年丁度70歳になったころ、一時俳句日記をつけ ていた。原則一日一句で、句の背景などを短くメモしたものを併記していた。二 年くらいで止めてしまったが、今になってみて自分ではまあまあと思うものを…

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句日記「しをり草」

8月12日(金)曇り時々雨 33℃/27℃  夏蝶に 挽歌を贈る 今際かな  残暑酷 どこもカラスの 黒ずくめ  カサブランカ マダムの席を 譲らねば  媚などは 売り物でない 百合の花  蝉しぐれ けやき並木を 遠ざける  記憶より なほ消したがる 鬼薊  攻められて 窓より飛ぶぞ 守宮の子  この色は 思はせぶりな  百日紅  オリーブの 実はこのまゝに そつとして  古…

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句日記「しをり草」

8月11日(木)山の日 曇り 35℃/26℃  山の日は かつて通ひし 森女の家  山の日の 話はつづく 靴と杖  山の日の 面影探す 写真帳  山の日の 何故か彼女は ワンピース  はからずも 従兄同士の 草相撲  晩夏かな 公園にある 喫煙所  お小言は 耳にタコほど 灸花  青蔦の 化身でござる ちぎれ雲  偶然が 偶然を呼ぶ 走馬燈  妻でなく 母だと思ふ 日輪草

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句日記「しをり草」

8月10日(水)晴時々曇り 36℃/27℃  横顔は 誰かに似るも 野の小百合  面会の 適はぬ窓に 風船かづら  病院と 縁が切れなく 灸花  渦はその 年輪かしら かたつむり  クマゼミの 鳴き疲れある 木陰かな  あの頃を 自分に重ね 遠花火  岳友の 返信途絶え 雲の峰  蟷螂を 帽子に乗せて 駅舎まで  目の前で 魂薄れゆく 夏の蝶  亡き人の 為にたつぷり 白雪草