荒星と吹かるる河豚の一夜干 　　片田 千鶴 　菜種河豚ひとつころがり市終る 　今村青魚 　藁蓋でよべの河豚鍋かくし置く 　廣江八重櫻 　虎と呼んで河豚の背中の斑なる 　鳴雪 　夏の海小さなハコフグ迷い来て　　アロマ 　虎河豚の糶値低しと膨れけり 　藤村素月 　虎河豚を喰ふ蘭学の書生かな 　野村喜舟 　遠慮しながら河豚刺を平らげる 　玉木克子 …

　もぎたての朝の柿よく冷えてゐし　 井上明華 　枕辺の朝の牛乳の冷え心地　　アロマ 　いちまいの皮の包める熟柿かな　 野見山朱鳥 　柿一つ食うて西京素通りす 　廣江八重櫻 　熟れた柿嬉しく啜る輩かな　　アロマ 　柿剥きつ凪ぎの船旅たたへあひ 　五十嵐播水 埠頭 　 　柿啖へばわがをんな少年の如し　 安住敦 　胡蘆柿の吹き粉を愛でゝ飾りけり　 名和三…