海胆割って利尻の初夏をすすりけり 柴田良二 利尻にて冷えた雲丹の軍艦を アロマ サハリンのかすかに見えて海胆啜る 藤村美津子 海胆割りてしづしづ入れる銀の匙 北城美佐 ハーモニカ雲にも聞かせ春惜しむ 山口速 春惜しむ旧居留地の角に立ち 朝妻力 カクテルのうすももいろに春惜しむ 小柳千美子 武蔵野を統べし社に春惜む …
竹林の風に適ひし鯉のぼり 小島みつ代 鯉のぼり膨らむ音の立ちにけり 山田六甲 逆風にみなぎる雄気鯉のぼり 吉澤利治 春宵や路地の賑はふ神楽坂 石黒興平 春宵の箸にこぼるる化粧塩 大杉映美 春宵の灯台の灯と街の灯と 石川東児 春宵や虚空漂ふ雲のある 近藤紀子 春宵の最上階の煌とあり 染谷晴子 春宵のしみじみ心ふれ合へる 稲畑汀子…
朝倉の秘伝蘭麝酒若葉冷 鈴木照子 若葉風ビニール傘が街を行く 芝宮須磨子 若葉風くるくる回って街の果て アロマ 若葉風海に突き出たレストラン 笠井敦子 若葉してオープンカフェに脚組めば アロマ 若葉風長谷の仏は猫背なる 荻野充子 ハーレーが若葉街道まっしぐら 中井光子 雨だれの芯まで青き若葉かな 中村江利子 若葉風葉裏返して流…
春満月美しとの電話二人より 田中藤穂 食堂が夫のアトリエ窓若葉 芦川まり 風若葉よりほぐれゆく緑かな 稲畑汀子 三猿に艶めく日差し樟若葉 木下節子 若葉なす崖のスロープ風薫る アロマ 若葉風原稿一気に仕上げたる 杉山みゆき 夕風呂の窓にひしめく若葉色 小林幸子 格子戸は光の匠若葉風 小澤克己 千年の木漏れ日ゆるる楠若葉 林敬…
どこか水たばしつてゐる若葉寺 淵脇護 瞑想の一と刻温泉に若葉が香 服部菰舟 山肌に若葉戦いで瑞々し アロマ 綱一本に決むる県境若葉風 平賀扶人 若葉風白壁映ゆる水路かな 宇佐美ゆき 若葉風庭園巡る人のいて アロマ 若葉そよぎて真昼間の湯葉料理 近藤きくえ 一夜にて盛り上りたる谷若葉 滝沢伊代次 千年の木漏れ日ゆるる楠若葉 林敬子…
鹿消えてざわざわとある若葉山 古舘曹人 柿若葉バケツを提げて部屋抜ける 岡本眸 若葉色滴る如く瑞々し アロマ 柿若葉一家坂棲み芸の人 中村草田男 柿若葉多忙を口実となすな 藤田湘子 柿若葉妙齢とこそ申さばや 石塚友二 光塵 柿若葉妻の厨着小銭鳴り 能村登四郎 監獄署見あぐれば若葉匂ふなり 種田山頭火 自画像 層雲集 盧遮那佛若葉…