2022年03月13日(日)03:16 会員以外にも公開 ペガサス 金木犀の香る頃に 蛙川諄一 第10回 第十章 夫と義父 年が明けた。 新年の二日には、繭子夫婦は実家を訪れるのが例年の習わしである。 それに二人揃って顔を出すのは年に一度しかない。 繭子は気の進まぬ夫の純一を伴って玄関のドアーを開けた。 「おめでとう御座います」 「おう、来たか来たか」 繭子の父親は一杯飲んで上機嫌である。 「さあさあ、堅苦しい挨拶はいいから早く上がれ。いつもご苦労だね。随分忙しそうだがあ…