最近娘が私をいたわってくれる 娘は結婚して母になり そして今一番むつかしい１８歳の孫の 青春時代を一緒に過ごしている。 孫は何も言わない、おとなしい恥ずかしがり屋の孫で これまでに何も問題を起こしたことがない 娘は自分の生い立ちを好きでなかったから 小さい時からお父さんと呼ぶ対象もなく 私は東京に出て年に４回くらい娘に会いに広島にかえっていた。いろんな苦労したあと 小さ…

　毎年のように繰り返される桜にまつわるドラマ。 この間人々は「今日は咲いたか」「明日は散るか」と そわそわして過ごす。 なぜか一度は桜を見にいかないと心が攻め立てられて いるようだけど、これもまたほんのりと心を染める 心地いい春の焦りのような気がする。 私にとっての花見の思い出がいくつかある。 それらは不思議と満開の桜のオーラよりも、散り際や 残る桜…花筏のような‥を眺めた想い出が多い。 ……

毎年、梅が花をつけると「ありがとう」という 言葉が出る。 「ありがとう。今年も咲いてくれて、季節を忘れないで こんなに寒いのに、あなたは開いてくれた」 梅がひとつの約束事を忠実に守り抜くように、寒い中 硬い樹皮から花を生み、一心に香ってみせる健気な佇まい。 私は年の始まりに咲き誇るこの花の佇まいが好きだ。 それというのも、梅の香りに纏わる忘れ得ぬ思い出が 毎年私の脳裏を駆け巡る。 ……………