「伊岡瞬」の日記一覧

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名コンビ再び

 伊岡瞬の「水脈」を読了した。著者はミステリー作家であり、2005年「いつか、虹の向こうへ」で第25回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、作家デビューしている。本書は徳間文庫大賞を受賞した「痣」の続編で、神田川に流れ込む暗渠の排水口での他殺死体の発見に始まる、連続殺人事件を描いた警察小説である。なお、本書は刑事の宮下と、事件現場に住んでいると思われる今井朝乃という老女の二人の視点で交互に描かれている。…

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倒産と清算の差異

 伊岡瞬の「清算」を読了した。著者はミステリー作家であり、2005年「いつか、虹の向こうへ」で第25回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、作家デビューしている。本書は、不慣れな部総務部門に突然異動になり、会社の清算業務を行うこと命じられた会社員を襲ったトラブルを描いたミステリーである。  本書の主人公で四十五歳の畑井伸一は、大手の新聞社八千代新聞社の系列会社の八千代アドバンスの制作部次長である。八千代…

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元犯罪者達が住むアパート

 伊岡瞬の「残像」を読了した。著者はミステリー作家であり、2005年「いつか、虹の向こうへ」で第25回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、作家デビューしている。本書は、ホームセンターでアルバイトをしている浪人生が巻き込まれた脅迫事件を描いたサスペンス小説である。なお、本書は主人公の堀部一平と、有名政治家の息子の吉井恭一の二人の視点で交互に描かれており、さらに一平と知り合いになった葛城の回想が所々で挿入…

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けだもの達の最期

 伊岡瞬の「白い闇の獣」を読了した。著者はミステリー作家であり、2005年に「いつか、虹の向こうへ」で第25回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、作家デビューしている。本書は、小学六年生の少女の誘拐殺人事件の被害者の家族の苦しみと、少年法に守られた加害者の少年達のその後の姿を描いた作品である。  2000年3月、小学校の卒業式の翌日は十二歳の滝沢朋美の誕生日であった。その日、珍しく休みの取れた父親で…

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トレンディドラマの舞台で

 伊岡瞬の「朽ちゆく庭」を読了した。著者はミステリー作家であり、2005年に「いつか、虹の向こうへ」で第25回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、作家デビューしている。本書は、「悪寒」「不審者」に続く「家族崩壊三部作」の第三作であり、かつてセレブタウンと言われた丘陵地に住みながら、少女殺人事件に巻き込まれ、家族それぞれの事情により壊れゆく中流家庭の姿を描いたサスペンス小説である。  山岸一家はおよそ…

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七夕の日に襲来した台風

伊岡瞬の「奔流の海」を読了した。著者はミステリー作家であり、2005年に「いつか、虹の向こうへ」で第25回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、作家デビューしている。本書は、20年前の豪雨の際に起こった悲劇から始まった、数奇な人間模様が描かれている。なお、本書は1988年現在の清田千遥のパートと、千遥が海岸で出会った坂井裕二の四歳から二十歳までの過去の歴史のパートが交互に描かれている。  1968年7月…

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青春時代の出会い

 伊岡瞬の「仮面」を読了した。著者はミステリー作家で、2005年に「いつか、虹の向こうへ」で第25回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、作家デビューしている。本書は、知的でハンサムな人気評論家の裏の姿を描いたクライムサスペンスである。なお、本書は三人称の多視点で描かれている。  物語に最初に登場するのは、東村山市のパン屋の若妻の宮崎璃名子である。彼女は少し年の離れた純朴な夫に望まれて結婚したのだが、夫…

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希死念慮ではなく

 伊岡瞬の「赤い砂」を読了した。著者はミステリー作家で、2005年に「いつか、虹の向こうへ」で第25回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、作家デビューしている。本書は、感染した人間を自殺に追い込むウィルスを追う刑事の苦悩を描いた警察小説である。  2000年の七月半ばの夕刻、JR高田馬場駅で一人の男がホームに転落し、山手線の電車に撥ねられるが、被害者の挙動から、事件は自殺と判断される。後に被害者は、被…

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著者別インデックス:国内(伊岡瞬)

1.いつか、虹の向こうへ (2005.05) 2.145gの孤独 (2006.05) 3.七月のクリスマスカード(改題:瑠璃の雫) (2008.06) 4.明日の雨は。 (2010.10) 5.桜の咲かない季節 (2012.08) 6.代償 (2014.03)   https://smcb.jp/diaries/6249507 7.もしも俺たちが天使なら(2014.06)   https://s…

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犯意誘発型囮捜査

 伊岡瞬の「不審者」を読了した。著者はミステリー作家で、2005年に「いつか、虹の向こうへ」で第25回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、作家デビューしている。本書は、二十一年振りの義兄の出現とその態度により揺れる主婦の姿を描いたサスペンス小説である。なお、本書は主人公の里佳子の一人称の視点で語られる。  物語は、折尾里佳子が自宅で校閲の仕事をしていた際に、ベビーベッドで寝ていた、息子の洸ちゃんの様態…

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誘拐された幼児の行方

 伊岡瞬の「冷たい檻」を読了した。著者はミステリー作家で、2005年に「いつか、虹の向こうへ」で第25回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、作家デビューしている。本書は、北陸地方の日本海沿いの寒村で起こった駐在署勤務の警察官失踪事件に始まる一連の事件を描いた、一種の警察小説である。  物語は、警視庁所轄署の刑事である樋口透吾が、非番の日に妻と三歳の息子の巧とともに遊園地に出掛ける場面から始まる。巧はそ…

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ファム・ファタールを探せ

 伊岡瞬の「本性」を読了した。著者はミステリー作家で、2005年に「いつか、虹の向こうへ」で第25回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、作家デビューしている。本書は、男を誑しこんでは消える謎の女と、その女を追う一匹狼の刑事の執念を描いた、八章からなるクライム・サスペンスである。  第一章:四十歳で私立中学校教師の梅田尚之は独身で、文京区千駄木にある屋敷で母親の品子と暮らしている。梅田家には多少の資産は…

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認知症患者の自白

 伊岡瞬の「悪寒」を読了した。著者はミステリー作家で、2005年に「いつか、虹の向こうへ」で第25回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、作家デビューしている。本書は、会社の不祥事の責任を取らされて、ど田舎の関連会社に出向させられたサラリーマンが巻き込まれた、妻の殺人事件を描いたサスペンス小説である。  主人公で42歳の藤井賢一は、元大手製薬会社城南メディシンの販促一課係長であったが、裏リベートおよび贈…

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サイコパスへの代償

伊岡瞬の「代償」を読了した。著者はミステリー作家で、2005年に「いつか、虹の向こうへ」で第25回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、作家デビューしている。本書は、一人のサイコパスに魅入られた少年が、長じてそのサイコパスの隠された犯罪を暴くミステリーである。  主人公の奥山圭輔は父母と幸せに暮らしていたが、小学校5年生の時に、近所に母親の遠縁だという浅沼一家が引っ越して来たことにより運命が暗転する。浅…

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イケメン三銃士の義侠心

伊岡瞬の「もしも俺たちが天使なら」を読了した。著者はミステリー作家で、2005年に「いつか、虹の向こうへ」で第25回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、作家デビューしている。本書は、それぞれ年代の異なる詐欺師、ヒモ、元刑事の小悪党が、偶然から人助けのために凶悪組織に立ち向かうことになるクライムノベルである。  本書の主人公はいずれもイケメンの三人であるが、メインキャラクターは谷川涼一である。  谷川涼…