2019年09月02日(月)19:47 会員以外にも公開 植松自由人 新田次郎著「栄光の岩壁」(下)岳彦、マッターホルン北壁に登攀する 「栄光の岩壁」(下) 新田次郎著 新潮文庫 昭和51年10月30日発行 ー竹井岳彦はフリッシュに就職した。 社長の稲沢鉄太郎が岳彦を呼んだ。 「とんでもない。しばらく宣伝の方からおりているだけでいいのだ。君のおかげで、サッサは売れて売れて困っている。他の工場にも作らせようと思っているくらいだ」 外は空っ風が吹いていた。岳彦は、その乾いた、寒い木枯らしの風の中を、足を引きずりながら歩いていた…