「ベンヤミン」の日記一覧

会員以外にも公開

小川幸司「ヴァルター・ベンヤミン——危機のなかの世界史」(『図書』2021年10月号、岩波書店、6-9頁)、読了。

 岩波書店『図書』に連載が始まったリレーエッセイ(隔月)《岩波講座世界歴史》「人物から見た世界歴史—❶」の同講座編集委員である小川幸司氏(世界史教育)のエッセイを読む。本誌が到着して、いの一番に読み、氏の高等学校での世界史教育実践に感動した。べンヤミンの読みと松本サリン事件と図書館ゼミナール活動、生徒たちの気づき(文言が胸を打つ)、ある講演会に向けての毅然たる態度・実践に背筋が伸びる思いを抱いた…

会員以外にも公開

柿木伸之『ヴァルター・ベンヤミン:闇を歩く批評』岩波新書No.1797、262頁、 読了。

 羽仁五郎がベンヤミンを論ずることは無かったのだろうか。本書第5章を読んでいるときにそう思った。本書で何度も引証されるベンヤミン「歴史の概念について」の胆にある「闘う被抑圧階級」が解放主体認識に触れられているからだ。「歴史を書くとは、歴史を引用すること」(p.204)という。それは、「神話的な物語を『逆なで』し、破局の犠牲になった者たちの記憶を、歴史主義的に物語られる因果の連鎖から解放して救い出…