「日本自然主義文学」の日記一覧

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130、「嵐 他2編」(島崎藤村著)は男手1つで4人の子供を育てる作家の生きざま描く

『嵐 他2編』 島崎藤村著 岩波文庫 1956年3月26日発行 ー尊敬する正宗白鳥が、日本自然主義文学を代表する作家は、島崎藤村だと言うので、それを確認することから、島崎藤村の作品を読みはじめ、『新生』『千曲川のスケッチ』を読んだ。『夜明け前』『破戒』は、それ以前に全部を読了した。特に『新生』は感動した。それで、この『嵐 他2編』も、ブックオフで見つけたので読了した。藤村にとって、この小説は、『…

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115、「新生前編」(全2冊)(島崎藤村著)は岸本捨吉の生きざま描く

「新生 前編」(全2冊) 島崎藤村著 岩波文庫 1956年1月9日発行 ー「岸本君ー永遠に堕ちて行くのは無為の陥穽である。無為の陥穽にはまった人間にもなお1つ残されたる信仰がある。二千年も三千年も言い古した、哲理の発端で総合である無常ー僕は僕の生気の失せた肉体を通して、この無常の鐘の音を今さらながらしみじみときき惚ることがある。これが僕のこのごろの生活の根調である」  友人の手紙が岸本の前にひろ…