富士山が今日 初冠雪だとか ひかる軌道草蒸す鉄軌秋の暮 山口誓子 どの声を誰ぞと言はむ秋の暮 中村汀女 秋の暮れ誰かが私を呼んでいる アロマ ほとばしる水の勢ひ秋の暮 清崎敏郎 まだ声が見えて遊ぶか秋の暮 鷹羽狩行 たはむれに妻を背に負ふ秋の暮 日野草城 ねむり深き母を窺ふ秋の暮 能村登四郎 よこたはるからたち垣や秋の暮 永田耕衣 一つ…
花火果てしじまの底に峡の里 佐治奈津 暫くは花火の匂ふ山の霧 吉田島江 縁に父母在して昭和の庭花火 佐藤史づ代 小雨なか花火の星のしたたれり 柴野静 音がしてやつぱり花火見たくなる 安居正浩 箱詰の桃挨拶は抜きにして 井上菜摘子 白桃の包まれてある丸さかな 雨村敏子 夕闇に作なき畑の花茗荷 石原健二 酢に浮ぶ茗荷は花を付け…