雪渓を踏み太陽に真向へる　　貞吉直子 　目の前の大雪渓や土筆摘む　　武井美代子 　羅臼岳の雪渓登攀者胡麻粒めく　　須賀遊子 　咲きつなぐ初夏の旅路に触るる花 　稲畑汀子 　湧水を掬び晩夏の旅をはる 　丹羽啓子 　初夏の旅終へていつもの日々となる 稲畑汀子 　連日の雷雨や秋の積乱雲 長崎桂子 　浴衣着てふつとあの日のオムライス 辻響子 　浴衣着て涼を楽しむ川の土手　　アロマ …

　風ぐるみ刈りて藺草の深みどり 坂本京子 　青々と盛夏の丈ある藺草刈り　　アロマ 　松葉牡丹一銭蒸気発着所 瀧春一 　晴天に松葉牡丹の真昼かな 　吉田順子 　母縫いし藍の浴衣を解きゆく 松村美智子 　神楽坂下駄の音して藍浴衣 　後藤志づ 　藍染の浴衣紫陽花模様なり　　アロマ 　縁側に風をさそひし藍浴衣 　平万紀子 　帰りにはおんぶで眠る浴衣の児 神田恵子 　夏祭り吾子は花の…

　緑蔭の静寂稲城野梨畑　 稲畑廣太郎 　 　ためらはず緑蔭に来て昼餉とす　 田原陽子 　緑蔭に爽やか詩集読書する　　アロマ 　緑蔭のギターケースのドル紙幣 　平野みち代 　緑蔭を駈くる風あり車夫のあり 　澤田英紀 　霍乱の一夜は明けて白湯甘く 　三椚淳 　川風を箸休めとし船料理 　山口登 　大川の風も一品船料理 　荒井ハルエ 　夏萩は水面を擦つて吹かれをり　 南…

　 　帰宅してサイダー軽く一気飲み 　篠田大佳 　サイダーに氷片一つ夜の秋　 岸田爾子 　サイダーのシュワシュワ泡だって　アロマ 　サイダーに溶けゆく泡と帆船と　 高田令子 　サイダーや最高気温更新す　 加藤みき 　爽やかなサイダーCM夏が来た　　アロマ 　サイダーポップのゲーム懐かしく　アロマ 　サイダーのシュワッとさざ波ほどの恋　 一門彰子 　サイダーの木桶に浮き…

　 　埋めずして海月溜りの三番瀬 　能村研三 　　 　透きとほること美しき水母かな 　鷹羽狩行 　浴衣買ふ江戸日本橋小舟町 　山口たけし 　藍浴衣いまだ子供と思ひしが　 柴崎加代子 　洗ひ髪したたるばかり浴衣の子 　古川京子 　朝市めぐる宿の浴衣の湯治客　 桜井菜緒 　糊ききし浴衣を抜ける風清し　 長谷川たか子 　盆踊り町内の子と浴衣着て　アロマ 　笠鉾を持つ若衆の…