浴衣着て団扇携え蛍狩り



 雪渓を踏み太陽に真向へる  貞吉直子

 目の前の大雪渓や土筆摘む  武井美代子

 羅臼岳の雪渓登攀者胡麻粒めく  須賀遊子

 咲きつなぐ初夏の旅路に触るる花  稲畑汀子

 湧水を掬び晩夏の旅をはる  丹羽啓子

 初夏の旅終へていつもの日々となる 稲畑汀子

 連日の雷雨や秋の積乱雲 長崎桂子

 浴衣着てふつとあの日のオムライス 辻響子

 浴衣着て涼を楽しむ川の土手  アロマ

 染め上げの浴衣地干せり青葉風 棚橋朗

 浴衣着て団扇携え蛍狩り  アロマ

 帯高く駒下駄履いて浴衣の子 板谷俊武

 陳列の変はるや浴衣藍がよし 塩川君子