年逝かす思ひに路地をひとめぐり　 服部幸 　行く年や万年筆の青い文字 　倉持梨恵 　行く年や晴れた冬空嬉しくて　　アロマ 　ゆく年の果ては青かれ日の出前 西川織子 　ゆく年を眺め見入るや夕茜　　アロマ 　行く年や十大ニュース語られて 菊地崇之 　ゆく年の醤油のにほふ佃島 　野口希代志 　行く年の風に雨粒まじりけり 市場基巳 槐 　ゆく年…

　 　春めくと思ふ夜来の雨あがり 　宮本俊子 　尉鶲春めく風と遊びをり 　木村迫子 　春めいて辺りの空気虹色に　　アロマ 　 　深山なる鉈の木霊も春めけり 　竹内喜代子 　 　画展出て春めく心野に放つ 　中村芳子 円虹 　雨止んでほのと春めく夕べかな 　稲畑汀子 　春めくやことに銀座の宵の口 　鷹羽狩行 　春めきて午報元気に鳴り響く　 泉田秋硯 　春めくや海と空とが…

　多摩の水すこし激する薄紅葉　 山口青邨 　日沈み月昇る間の薄紅葉　 村田脩 　廊登る初瀬の長谷の薄紅葉　 谷中隆子 　鬼殻の真赤なスープ暑気払ふ 　野沢節子 　山椒の実が真赤ぞと山の母　 飴山實 花浴び 　春日落つ涯や南支那海ただ真赤 　山口青邨 　大寒や真赤な苺店先に 　逸見静江 　美ヶ原走る真赤な雪上車 　行実みよ子 　風の芥子真っ赤にさだかならぬ記憶 　木下夕爾 遠雷…