さんが書いた連載お出かけ3の日記一覧

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「またひとつ毎年行きたい場所が増えた」

筑波山の帰りに寄った「道の駅」で珍しいものを見つけた。苺を巻いた巻きずしとおいなりさん。全く異種のものを組み合わせているが、見た目が何とも美しい。おまけに半額とシールが。 帰宅して食べた。巻きずしはハズレだったが、お稲荷さんは油揚げの味でそれなりにイケた。完食する前にはカメラに収めたりした。 だが、その日までだった。翌日一日中吐き気が止まらず、夕方になって吐いた。食欲も全くなくなった。2日後…

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「雨の日は空いているはずだ」

羽田中央と出て来た 千葉県から西に行くには 東京を抜けなくてはならないが この道を走るとすぐに羽田だ お台場から東京湾の底に入るのだろうが、 傾斜は緩やかで海底とは思えない 路面は濡れている 尤もここに水が溜まったらひとたまりもない 左手に煙突が見えて来た もう川崎だ 旅行会社の企画で一度船から見たことがある 肉眼で見る夕方の工場街は詰まらなかった 電車と歩きで来たときは 工場と工場が離れ…

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「初めて美しいと思った」

美しい。初めてだ、女性の体をこんなに美しいと感じたのは。時々駅前や観光地に裸の像が立っていると、なぜこんな人前に裸を置くのだろうと思った。 一度行ってみたかった「大江戸温泉物語」。東京お台場に本物の温泉がある。 受付でパルシステムで買ったチケットを渡す。何と言うことだ、月曜火曜は60歳以上は半額だと!割引で買えたと喜んだのに、こっちが安い。泣く泣くチケットを使う。 すぐに浴衣に着替えるシ…

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「上野でハイボール」

冷たい雨の中を上野に行った。目的は二つ。一つは東京都美術館で開かれている『奇想の系譜展』。それと同列に書いては申し訳ないが、ハイボール。 上野駅のそれはそれは美味しいハイボールを飲ませるお店の事は前にも書いたことがある。山手線から上がって、公園口を背にして左手に通路を進んでいく、はずが、行き止まりになっていて、かなり直進してから左折した。 店内には誰一人客はいなかった。店員はいつ行っても狭い…

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「優先席にて」

エスカレーターで総武線快速ホームに降りて行く。長い。危険だから右側を歩いたりはしない。 ホームには特急が停まっていて、そちらが先に出る。私が乗る快速は既に行列ができていた。比較的短い行列に並んだ。 10分程待ってやって来た快速に乗り込んだ。優先席に向かった。見ると普通の席もかなり空いていたが、一度座ったからには動こうと思わなかった。入口に近い端に座った。女性がやって来て同じように真ん中を空け…

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「春の一日東京を歩く」

飯田橋で乗り換えるコースを選んだのは乗り換えが一度で済むからだ。総武線の各駅停車は座ることこそできないものの、土曜日の朝ゆえ混雑はしていない。 かなり早く着かないと落ち着かない性格だが、集合時間ギリギリにしか着きそうにない。飯田橋乗り換えは案内表示を見ながら地下を進むのだが、何度も曲がり角があり複雑で、長かった。途中コンビニのローソンが二つもあった。こんな地下で一体何を売るのだろうと、寄ってみ…

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「美しき婆様達」

他の出演者は両袖に消えて行ったのに、彼女だけは舞台の真ん中を後ろに下がって行く。百恵ちゃんを思い出す。まさか。 私は周りのみなさんに挨拶して席を立った。扉の外には大勢が出て来ている。あっ、あれは石井ふくこだ。今日が初日で、これが最初の回だ。私は緊張感のある舞台が見たかったからこの回を選んだが、作り手としては全く違う緊張感なんだろう。 小さい。表情も歩き方もしっかりしている。この人も原作者佐藤…

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「サンマと桃」

朝目覚めたときには雨と風が酷く、会社までどうやって行こうかと思ったが、6時半には雨が小降りになっていたので、いつも通りバイクで行った。 数日前から今回の台風は大きいと言っていた。近年テレビはこれでもかというほど自然災害の恐ろしさを言い立てるので、また千葉県は大したことないのだろうと高を括っていた。 昨日は仕事が休みだった。昼間海を見に行った。同じようなバカはどこにでもいる。海岸の駐車場には何…

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「もう一人参加は嫌だと思った」

同じ場所なのに、これほど違うのか。電車で仲間を見つけた時から、楽しくて仕方がなかった。 東武浅草駅から特急で北上し、桧枝岐から入って山小屋に一泊し、翌日尾瀬湿原を縦断し鳩待峠を登って戸倉からバスで上毛高原に出て新幹線で帰るという余裕のコース。 偶々尾瀬日帰りツアーを申し込んでから、ジョギングクラブでこの企画が立ち上がった。前回はツアーに一人参加だった。(「尾瀬なう」https://smcb.…

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「尾瀬なう」

電車を降りて歩き出した。地面からはまだ昼間の熱気が伝わってくる。風が生暖かい。帰って来た。 考えてみれば旅に出たいと思って、自分から動いたのはあれから初めてだ。一人で何かを決めるのが面倒だった。簡単でいい。ツアーに申し込め。 夏のこの時期、自然の中に浸れて日帰りができるところ。尾瀬にしたのは、ずっと行きたかったから。このコースにしたのは集合場所が北千住だったこと。 集合場所は北千住駅から真…

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「シャネルの19番」

こんなに面白かったか?!演じている皆さんがうまくなったのか、私自身の感性が変わったのか。おそらく両方だ。 「この蜘蛛の糸は己のものだぞ。下りろ。」と言った途端に糸を切るなんてやっぱり心が狭い。お釈迦様の気まぐれで、助かるかもしれないと一度希望を持った後、また血の池地獄に浮かんでいる辛さは言語を絶するだろうよ、犍陀多。それにしてもお釈迦様も罪な方だ、助けるんなら全員助けなさいよ。 次はアメリ…

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「四万六千日:浅草ほおづき市」

朝から信じられないような暑さで着ていた服が汗びっしょりになった。ずっとこうだ、湿度計は80%近い数字を示している。 もう一度着替えて駅に向かった。田んぼ道でバイクを停める。リュックからカメラを出した。リュックは重い。昨日買った絵本2冊と古い絵本が一冊、それにいつも入れているもの。 何の予定もなしに気ままに出歩く時は、まずはカメラ。銭湯があれば入りたいからタオルとビニール袋、お寺があれば入って…

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「同級生パートⅡ」526

「このテラスのフェンスは見たことないわ、特別仕様よね。お洒落ねぇ。」 「そこに這わせたピンクのテッセンもいいわねぇ。こっちの薔薇も地味なのに豪華。縁が緑色で真ん中に行くに連れて白からピンクになってる。曇り空の方が綺麗に見えるんだ。ベリーがまたいいこと!赤と黒がはっきりしてて。そう?摘んでいいの?黒だけ?嬉しい。」 「あの木は山法師でしょ。その隣はナナカマド。紅葉したら真っ赤ね。こっち側はオリ…

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「同級生」

「見て見て。これ動くのよ。」 私は後ろにいた友人を呼んで来た。友人も私と同じように気味悪がると思ったら、意外な答えが返って来た。 「カッテたのよ。」 「えっ?蚕を?」 「そうなんだよ。家でさ。」 友人のご主人も加わる。 「葉っぱなんて物凄く食べるの。どさっと入れてもムシャムシャ音を立てて食べるの。」 二人は農家出身ではなかったはずだ。子供時代に蚕を飼っていたのだろうか。よくよく聞いてみると…

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「ブチ切れてる」

介護現場で働く私たちのココロが狭い?!この仕事を選んでいること自体、私はかなり広いと思っています。(それを言ったら、そんな人は少数だ、ほとんどは簡単に資格が取れて、今の日本で仕事としてすぐにありつけるのは介護くらいしかないからよ、と同僚に言われたことがありますが、今は全く同感です。) 介護というとんでもなく大変な世界でも、感動することはある、それを今まで書いてきたのだが、今回は重症。どこにも吐…

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「このままだと哲学者になっちまう」

一人で婆様を車椅子からベッドに移乗する。婆様がよくする若かりし頃の職場の話をチョコッとして、両腕の下に手を差し込んだ。覚悟を決める。婆様の頭が私の肩のあたりに密着する。「1,2,3、で行きますよ。一緒に。」 覚悟など大袈裟なと思われるだろうが、その前に婆様に同僚が噛まれている。同僚の腕は血が滲み、くっきりと傷がついた。 同僚と二人で車椅子からベッドへの移乗をしていた。同僚が婆様を抱え込んだ。…

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「年に一度の秋葉原詣で」

秋葉原駅前にデーンと構えるヨドバシカメラは、いつ行っても「外国」だ。客も店員も外国人だらけ。今回もそのことに変化は感じられなかったが、頭にスカーフを被った女性の姿や黒人男性が目立った。恐らく中国系の人達が目立たなくなっただけだ。 私はここには何度も来ているが、上階にレストラン街があることを去年まで知らなかった。プレゼントを買ってもらいに来た。そのとき毎年一個ずつ買ってもらうのもいいなと言った、…

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「おめでとうアタシ」

よく頑張った、アタシ。 今、鏡を見ている。髪の毛は白髪染めでオッケーだし、顔の上半分はそれほど変化は感じられない。但し、目は窪んだままだ。右目の上目蓋がたるんできている。 鼻から下が悲惨だ。ニュートンよ、君は正しい。全てのものは地球に引っ張られる。これほどしっかりと鏡を見ていなかった。いつも洗面所で化粧するからだろう。首の衰えは気付いていたが、顔まで浸食されて来たか。 日焼け止めを塗っただ…

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「可愛いが言えるようになった」

若い頃は「可愛い!」が言えなかった。そんなに何でもかんでも「可愛い」で括るな、だとか、かわい子ぶりっ子するな、だけでなく、心のどこかでそうしたものを愛でる同性を小馬鹿にしていた。 今、可愛いものを見ると、心の底から「可愛い!」が出てくる。この間またメガネケースを買ってしまった。今までの私だったら絶対に買わなかったモコモコフワフワのウサギちゃんだ。直前に一個買ったばかり(100均で買った和柄)で…

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「流行るか『旅ラン』」

テレビを見ながらメモした。「尾久の原公園」。もう絶景としかいいようのない枝垂桜の小道を数人のスタッフと走っている。 かわいいだけのタレントだと思っていたこの女性は鈴木ちなみというのか。人しか通れない細い道に入った。ウォーキングイベントで歩く雰囲気と似ている。和菓子屋に立ち寄っている。都電荒川線の電車を模した「都電最中」なるものがある。何種類も。ああ、これは全種類買わねばならぬ。どこだ、ここは。…