さんが書いた連載ラジオ体操の日記一覧

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「夜明けが遅い」

早朝に目が覚めたのにラジオを点けたまま布団から出られなかった。このままぬくぬくとくるまっていたい。昨日はそうした。 朝6時になってしまった。布団をはねのけた。 顔を洗って化粧は簡単に済ませる。急いで着替える。二畳ほどの洗面所には小さなセラミックヒーターがあるが、それを点けるまでもなかった。 外に出た。やはりそうだ。日の出が遅くなっている。昨日は雨が降ったが、夜の間にも降ったのだ。路面は濡れ…

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「顔なじみ」

「ちょっとお参りしてきます」 そう言って走り出す。今までは神社の三か所にお参りしていたが、本殿一か所だけだ。それでいいと思えるようになっている。 また走って戻ると、これから歌うところだった。 仕事のある日は6時半に家を出るから、ラジオ体操には参加できない。体操したかったら6時15分までに出たい。いつだってぐずぐずしているから、大抵は「第一」が終わるころだ。それも週に2,3回。 朝起きるころ…

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「60の坂」

ああ、この空気。清涼感とでも言ったらいいのか、本当に清々しい。思いっきり深呼吸する。 散歩を終えて帰るところらしい女性が前から来る。「おはようございます」とこちらから挨拶する。すると、向こうからも同じ言葉が返って来る。今朝は幸先がいい。「サイサキ」と打ち込んで変換した文字が「幸先」。もうこの言葉自体に「幸」が入っていたのか。 おお、まだダリアもバラも咲き残っている。この花は何というのだろう、…

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「星影神社」

やはり音楽には力がある。音楽に合わせて踊ればそれは倍増する、なんぞとニヤニヤ笑いながら神社の本殿に向かった。ラジオ体操には間に合ったが、「第一」の途中に入り、そのまま歌、踊りと続けたからまだ本殿にお参りをしていなかった。 今までよりは大分短くなったお参りをして帰ってみると、歌の会のメンバーは殆どが帰ってしまった後だった。5人ほど残って歌っているのは英語を愛する人たちだ。おひとり、とても英語が好…

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「人生100年時代のモデル」

「体操して歌を歌って踊って、そのうえ料理まで教えてもらえる。いいとこですねえ。」 私が言うと彼女は言った。 「そうよ。頑張って毎日いらっしゃいよ。」 ラジオ体操に遅れなくなった。歌の後の踊りまで参加する気になったのは昨晩見たNHKの「クローズアップ現代+:50代でキレキレダンス心と体が驚異の若返り 人生百年時代のモデル」のお陰だ。 男性アナの武田さんが弾むように踊るダンスの場面から始まった。…

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「鹿おばさん」

アラームが鳴る前に目が覚めるようになった。ラジオ体操にもぎりぎりだったが間に合った。木々の間に抜けるような青空が見える。そこを飛行機が飛んでいく。 体操が終わると、神社にお参りしていく人が何人もいる。私も行った。祈りは感謝の言葉が中心になっている。 歌や踊りはスルーするつもりで、池に向かう階段を降りた。金網のところにいつもの女性がいる。知らない爺様と話している。女性はここにいる鹿に毎日野菜や…

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「雨の日も雪の日も」

ボツボツ?ポトポト?違う。バシャバシャじゃないしなぁ。雨がだんだん強くなる。傘に当たる音をどう表現するのだろう。 目覚ましが鳴って目が覚めた。5時45分。雨戸を閉めているし、西側の壁の下にだけある障子戸が付いた窓にはジグソーパズルの額を立て掛けてあるので暗いが、それでも額の端が明るくなっていることはわかる。雨でも行こう。たとえ体操している人がいなくても、神社にお参りだけはしたい。 寒い。薄手…

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「現実に頭が追いついていかない」

あれはハナミズキだ。真っ赤な実が成っている。きっと来年の春に咲く蕾もできているはずだ。白っぽい色でよく見ないとわからないが、上を向いているのがそうだ。 葉もあんなに赤くなるのだ。今までだってあの木はあったのに、実と蕾が同居するという知識を仕入れた途端に細部まで見えて来る。この木がこれほど紅葉するのなら、遠出しなくてもいい。ここにもあそこにもある。 5時過ぎに目覚めていたのが、寒さのせいか目…