連載:ラジオ体操

「鹿おばさん」

アラームが鳴る前に目が覚めるようになった。ラジオ体操にもぎりぎりだったが間に合った。木々の間に抜けるような青空が見える。そこを飛行機が飛んでいく。

体操が終わると、神社にお参りしていく人が何人もいる。私も行った。祈りは感謝の言葉が中心になっている。

歌や踊りはスルーするつもりで、池に向かう階段を降りた。金網のところにいつもの女性がいる。知らない爺様と話している。女性はここにいる鹿に毎日野菜や自分で炊いたご飯を持って来ている。

女性は鹿の鼻筋を撫でている。濡れた鹿の目は大きいが白濁している。年もとっているのだ。

「どこで寝てるんでしょうね」
「向こ